パーキンソン病のリハビリテーション

 ゆっくりと進行する神経変性疾患で、手足のふるえ(振戦〈しんせん〉)、手足のこわばり(固縮〈こしゅく〉)、動作緩慢(寡動〈かどう〉、無動)、転びやすくなる(姿勢反射障害)が代表的な症状です。同年齢の人にくらべて運動不足になりやすく、からだを動かさないために、身体機能の低下が生じやすい病気です。
 パーキンソン病の初期より、頸部や胸腰部の可動性を維持してよい姿勢を保ち、日常生活の活動量を維持することを目標とし、経過に応じて杖や自助具の使用を、また地域施設の利用を進めていきます。
 症状が進行してくると、障害に応じた工夫をリハビリテーションのなかに取り入れていくことになります。たとえば、パーキンソン病でみられる足のすくみや、姿勢反射障害による転倒を予防するために、腕の振りを大きく歩幅を広くしたり、床にビニールテープなどで、一定の間隔をあけた線をつくり、それをまたいで歩くといった、視覚的な手がかりを利用すると安定して歩行しやすくなることがあります。

 そのほかには、食事の方法や食事形態などの検討、移動やコミュニケーションにおける代償手段の検討など、医療・福祉機器を利用した、療養生活環境の構築がリハビリテーションの目的として重要となってきます。

(執筆・監修:帝京大学医学部リハビリテーション医学講座 准教授 中原 康雄)
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