骨折のリハビリテーション 家庭の医学

 骨折治療のためにギプスが巻かれた場合、この間に筋肉の萎縮を防ぐために、運動練習をします。
 関節を固定された場合には、関節を曲げ伸ばしすることはできませんが、固定された部位に力を入れるなどして、筋肉の長さを変えずに収縮させる(等尺性収縮〈とうしゃくせいしゅうしゅく〉)ことが可能です。ひざを伸ばす筋肉では、萎縮が急速に起こり回復しにくいので、特にこの練習が大切です。長期間膝関節を固定する場合には、ギプスのひざの部分に窓をあけて、ときどき膝蓋(しつがい)骨を揺り動かし癒着を防ぐようにします。
 高齢者に多い大腿骨頸部(けいぶ)骨折では、早期に内固定などの手術により、臥床(がしょう)期間を短くし、健側下肢の運動訓練、患側の等尺性収縮訓練をただちに開始して、廃用症候群を予防することが大切です。上肢の骨折では、寝ている必要はありません。

(執筆・監修:帝京大学医学部リハビリテーション医学講座 准教授 中原 康雄)
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