慢性閉塞性肺疾患のリハビリテーション

 慢性閉塞性肺疾患は、代表的な慢性呼吸器疾患の一つであり、英語病名の頭文字をとって、COPDと呼ばれることもあります。
 慢性閉塞性肺疾患では、息切れや呼吸困難のために、日常生活の動作(ADL:activities of daily living)を困難にし、疲れやすいことから、運動量が減少し、廃用症候群が重なり、寝たきりの原因となります。そのため胸郭(きょうかく)を拡大して、換気の効率を高めるために腹式(横隔膜)呼吸と、ゆっくり息を吐き出しながら呼吸することを練習します。吸気に2~3秒、呼気には倍の4~6秒かけ、くちびるをすぼめて、ゆっくりと吐き出すようにします。

 はじめは仰臥位(ぎょうがい:仰向け)、慣れてきたら座位、立位、歩行時にもおこなえるようにして、日に2~3回、5~10分くらいかけておこないます。このような呼吸訓練を取り入れるとともに、息切れを自覚しない程度に、身体機能の維持を目指して、リハビリテーションをおこないます。そのなかで、日常生活の適切な自己管理をおこなえるようにし、運動がライフスタイルに組み込まれていくことが重要となります。
 また、呼吸器のリハビリテーションには、栄養指導、感染管理、薬剤指導、メンタルサポート、その他包括的な内容が、リハビリテーションのなかに加えられており、患者さん自身が病気の状態、使っている薬や食生活、かぜの予防や禁煙などについて理解することがとても大切です。

(執筆・監修:帝京大学医学部リハビリテーション医学講座 准教授 中原 康雄)
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