政府は25日までに、パートら短時間労働者が厚生年金に加入する企業規模の要件を撤廃する方針を固めた。厚生労働省の試算では、撤廃することで新たに約130万人が加入できる見通し。多様な働き方に対応した制度の構築を目指すとともに、厚生年金に入る短時間労働者を増やすことで老後の貧困化リスクを減らす狙いがある。
 厚労省の有識者懇談会が近く、2025年の次期年金制度改革に向け、企業規模要件の撤廃の検討を求める報告書をまとめる。政府はこれを踏まえ、年末までに詳細な制度設計を検討し、来年の通常国会に関連法案を提出する。
 短時間労働者の厚生年金加入は現在、従業員101人以上(今年10月からは51人以上)の企業に義務付けられている。週の所定労働時間が20時間以上で、月額賃金8万8000円以上の労働者が対象となる。
 厚生年金の保険料は労使折半となっている。加入拡大に伴い企業側の費用や事務作業が増えるため、政府は負担軽減策を検討する。
 5人以上のフルタイムの従業員がいる個人事業所についても、厚生年金の適用範囲を広げる。宿泊業や飲食サービス業など一部の業種は現在加入が義務付けられていないが、こうした「非適用業種」を解消する方向で検討する。 (C)時事通信社