東北大などの研究グループは16日、負傷した心臓の血液循環を3分以内で再開させるシステムを考案し、同日までに特許を取得したと発表した。2022年7月の安倍晋三元首相銃撃事件を踏まえ、街頭演説会場でのテロ対応などを想定した。同グループは「緊急の止血・開胸さえできれば救命できる可能性もある。システムの確立と実証などを目指したい」としている。
 同大加齢医学研究所の白石泰之准教授らが考案したシステムは、気道確保や緊急開胸、止血と輸血などを分業で行い、血液循環の再開まで3分以内で実施する。緊急蘇生や挿管を行うと同時に、全身に血液を送る左心室に穿刺(せんし)して人工ポンプを装着。ポンプと大腿(だいたい)動脈を結ぶ送血ルートを確保し、心臓の循環機能を再開させる。
 肺の損傷も確認された場合には、人工肺を追加。大腿動脈からの接続が難しければ、負傷部位を踏まえ、適切なルートを確保する。
 研究グループは「血液の循環停止から脳死に至るタイムリミットは3分とされ、その前に循環を再開できるシステムが望まれている。緊急事態ではこれより早い方法論は難しい。システムが具体化されれば患者を多く救命できる」と話している。 (C)時事通信社