【パリ時事】世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は14日、天然痘に似た症状の感染症エムポックス(サル痘)」がアフリカで流行していることを受け、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言した。記者会見で「アフリカ内外にさらに広がる可能性が非常に懸念される」と述べ、各国に警戒を呼び掛けた。
 WHOがエムポックスで緊急事態を宣言したのは、欧米などに感染が拡大した2022年7月以来約2年ぶり2度目。前回は感染減を理由に23年5月で解除されたが、アフリカ中部コンゴ(旧ザイール)ではその後、エムポックスウイルスの変異株が急速に広がった。
 今年はコンゴで既に23年の1年間を上回る1万4000人超が感染し、520人余りが死亡。隣国のルワンダ、ブルンジ、ウガンダや東部ケニアでも過去1カ月で計約90件の感染が報告されたため、WHOが14日に開いた専門家会合で緊急事態に当たるとの見解が示された。
 エムポックスは前回も今回も、主に性交渉で広がっているもようだ。テドロス氏は会見で「(感染の)増大を食い止め、命を守るには国際的対策の調整が不可欠だ」と強調。宣言を機に、WHO加盟各国で連携を強化すると訴えた。 (C)時事通信社