マヨネーズや乳化状ドレッシングの添加で野菜などの食べやすさが向上することを確認
キユーピー株式会社
おいしさと食べやすさの両立で、高齢期の食事をもっと楽しく。9月14日(土)・15日(日)に開催の日本咀嚼学会で発表
キユーピー株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役 社長執行役員:高宮 満、以下キユーピー)は、和洋女子大学・大学院(学長:金子 健彦)の柳沢 幸江教授らと共同研究を行い、高齢者が食べにくさを感じる野菜などの食材にマヨネーズや乳化状のドレッシングを添加することで、食べやすさが向上することを確認しました。本研究成果について、2024年9月14日(土)・15日(日)に開催された特定非営利活動法人 日本咀嚼学会第35回学術大会※1で発表しました。
■研究の背景
食べる力の低下(噛む力や飲み込む力)は、日々の食事の食べにくさに加え、食物の一部が気道に入り込み、誤嚥性肺炎につながることもあります。世界で最も高齢化率が高い日本において※2加齢に伴う食べる力の低下は社会課題と言えます。世界でも今後急速に高齢化が進行すると予測されており※3、嚥下食を国際的に標準化する取り組みが始まっています※4。
日本では、食べやすさに配慮した食品(ユニバーサルデザインフード)の利用に加えて、訪問栄養指導の現場を中心に、日常の食事に取り入れやすい手法の一つとして家庭での保有率が高いマヨネーズや乳化状のドレッシング(以下乳化状調味料)を活用する提案がされています。
■研究の目的
乳化状調味料を野菜などの食べにくい食材に混ぜ合わせることで、まとまりやなめらかさが付与され、食べやすさの向上につながるものと推察されます。本研究では、この乳化状調味料による食べやすさの向上を科学的に明らかにすることを目指し、中高年を対象に官能評価を実施しました。
■結果の概要
評価した食材全てで、乳化状調味料の添加によって食べやすさが有意に向上することが示されました。とりわけ噛む力が低下している人の方が、何でも噛める人に比べて効果を感じやすく、有効である可能性が示されました。
本研究では、食べる力の低下が気になり始める中高年の官能評価で、食べやすさに対する乳化状調味料の有意な効果が確認できました。今後は飲み込み時の筋電位測定など客観的な評価法による検証も行い、さらなる解明に取り組みます。乳化状調味料は油を含むことから高齢者の低栄養にも有効です。今回得られた知見をもとに、フレイルが気になる方やビジネスケアラ―向けのメニュー提案など、家庭や高齢者施設で役立つ情報発信を行っていきます。キユーピーは、今後も食にまつわる課題解決に向けた研究に取り組み、豊かな食生活の実現に貢献していきます。
※1 日本咀嚼学会第35回学術大会 https://www.jsmshp35.jp/index.html
※2 内閣府 令和4年版高齢社会白書 https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2022/html/zenbun/index.html
※3 UN, World Population Prospects:The 2019 Revision
※4 国際嚥下食標準化構想(IDDSI)https://iddsi.org/IDDSI/media/images/Translations/IDDSI_Framework_Descriptors_V1_final_Japanese_March92021.pdf
<研究概要>
■試験内容:
59~79歳の中高年の男女71名を対象に官能評価を実施しました。そのうち、噛みにくさがある人(半年前に比べて固い物が食べにくくなった人)は10名、そうでない人は61名でした。
評価方法は、高齢者に食べにくいとされる4つの食材(じゃがいも/ゆで卵/ツナ/キャベツ)について、食べやすさに関わる4つの項目(つぶしやすさ・噛み切りやすさ/まとまりやすさ/飲み込みやすさ/残留感のなさ)を採点しました。
<使用した調味料>
・じゃがいも/ゆで卵/ツナ :マヨネーズ
・キャベツ :乳化状ドレッシング
図1 試験食
■結果:
<被験者全体の結果>
どの食材も食べやすさの4項目全てで、乳化状調味料「あり」が「なし」に比べて有意に食べやすい結果(高い点数)となりました(図2)。とりわけ、「まとまりやすさ」と「飲み込みやすさ」で効果が大きい傾向が見られました。
図2 食材・評価項目別の官能評価結果 /全ての食材、全ての項目で、調味料あり・なしに有意差(p<0.001)が見られた。
<被験者の咀嚼レベル別の比較>
被験者の咀嚼レベル別にみると、乳化状調味料「なし」の場合、噛みにくさがある人とそうでない人で、じゃがいもの食べやすさに有意な差が見られました(図3、左のグラフ)。一方、乳化状調味料「あり」になると、噛みにくさがある人の点数が大きく上昇し、二者間の差が縮小して有意差がなくなりました(図3、右のグラフ)。ゆで卵でも同様の傾向が見られました。これにより、乳化状調味料の添加は、噛む力が低下している人の方が効果を感じやすく、有効である可能性が示されました。
図3 被験者の咀嚼レベル別に比較した「じゃがいも」の官能評価結果 /「噛みにくさがある(半年前に比べて固い物が食べにくくなった)人」10名と「そうでない人」61名の結果を比較したもの。左の調味料なしでは4項目全てで有意差(p<0.01)が見られたのに対し、右の調味料ありでは有意差がなくなった。
企業プレスリリース詳細へ
PR TIMESトップへ
おいしさと食べやすさの両立で、高齢期の食事をもっと楽しく。9月14日(土)・15日(日)に開催の日本咀嚼学会で発表
キユーピー株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役 社長執行役員:高宮 満、以下キユーピー)は、和洋女子大学・大学院(学長:金子 健彦)の柳沢 幸江教授らと共同研究を行い、高齢者が食べにくさを感じる野菜などの食材にマヨネーズや乳化状のドレッシングを添加することで、食べやすさが向上することを確認しました。本研究成果について、2024年9月14日(土)・15日(日)に開催された特定非営利活動法人 日本咀嚼学会第35回学術大会※1で発表しました。
■研究の背景
食べる力の低下(噛む力や飲み込む力)は、日々の食事の食べにくさに加え、食物の一部が気道に入り込み、誤嚥性肺炎につながることもあります。世界で最も高齢化率が高い日本において※2加齢に伴う食べる力の低下は社会課題と言えます。世界でも今後急速に高齢化が進行すると予測されており※3、嚥下食を国際的に標準化する取り組みが始まっています※4。
日本では、食べやすさに配慮した食品(ユニバーサルデザインフード)の利用に加えて、訪問栄養指導の現場を中心に、日常の食事に取り入れやすい手法の一つとして家庭での保有率が高いマヨネーズや乳化状のドレッシング(以下乳化状調味料)を活用する提案がされています。
■研究の目的
乳化状調味料を野菜などの食べにくい食材に混ぜ合わせることで、まとまりやなめらかさが付与され、食べやすさの向上につながるものと推察されます。本研究では、この乳化状調味料による食べやすさの向上を科学的に明らかにすることを目指し、中高年を対象に官能評価を実施しました。
■結果の概要
評価した食材全てで、乳化状調味料の添加によって食べやすさが有意に向上することが示されました。とりわけ噛む力が低下している人の方が、何でも噛める人に比べて効果を感じやすく、有効である可能性が示されました。
本研究では、食べる力の低下が気になり始める中高年の官能評価で、食べやすさに対する乳化状調味料の有意な効果が確認できました。今後は飲み込み時の筋電位測定など客観的な評価法による検証も行い、さらなる解明に取り組みます。乳化状調味料は油を含むことから高齢者の低栄養にも有効です。今回得られた知見をもとに、フレイルが気になる方やビジネスケアラ―向けのメニュー提案など、家庭や高齢者施設で役立つ情報発信を行っていきます。キユーピーは、今後も食にまつわる課題解決に向けた研究に取り組み、豊かな食生活の実現に貢献していきます。
※1 日本咀嚼学会第35回学術大会 https://www.jsmshp35.jp/index.html
※2 内閣府 令和4年版高齢社会白書 https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2022/html/zenbun/index.html
※3 UN, World Population Prospects:The 2019 Revision
※4 国際嚥下食標準化構想(IDDSI)https://iddsi.org/IDDSI/media/images/Translations/IDDSI_Framework_Descriptors_V1_final_Japanese_March92021.pdf
<研究概要>
■試験内容:
59~79歳の中高年の男女71名を対象に官能評価を実施しました。そのうち、噛みにくさがある人(半年前に比べて固い物が食べにくくなった人)は10名、そうでない人は61名でした。
評価方法は、高齢者に食べにくいとされる4つの食材(じゃがいも/ゆで卵/ツナ/キャベツ)について、食べやすさに関わる4つの項目(つぶしやすさ・噛み切りやすさ/まとまりやすさ/飲み込みやすさ/残留感のなさ)を採点しました。
<使用した調味料>
・じゃがいも/ゆで卵/ツナ :マヨネーズ
・キャベツ :乳化状ドレッシング
図1 試験食
■結果:
<被験者全体の結果>
どの食材も食べやすさの4項目全てで、乳化状調味料「あり」が「なし」に比べて有意に食べやすい結果(高い点数)となりました(図2)。とりわけ、「まとまりやすさ」と「飲み込みやすさ」で効果が大きい傾向が見られました。
図2 食材・評価項目別の官能評価結果 /全ての食材、全ての項目で、調味料あり・なしに有意差(p<0.001)が見られた。
<被験者の咀嚼レベル別の比較>
被験者の咀嚼レベル別にみると、乳化状調味料「なし」の場合、噛みにくさがある人とそうでない人で、じゃがいもの食べやすさに有意な差が見られました(図3、左のグラフ)。一方、乳化状調味料「あり」になると、噛みにくさがある人の点数が大きく上昇し、二者間の差が縮小して有意差がなくなりました(図3、右のグラフ)。ゆで卵でも同様の傾向が見られました。これにより、乳化状調味料の添加は、噛む力が低下している人の方が効果を感じやすく、有効である可能性が示されました。
図3 被験者の咀嚼レベル別に比較した「じゃがいも」の官能評価結果 /「噛みにくさがある(半年前に比べて固い物が食べにくくなった)人」10名と「そうでない人」61名の結果を比較したもの。左の調味料なしでは4項目全てで有意差(p<0.01)が見られたのに対し、右の調味料ありでは有意差がなくなった。
企業プレスリリース詳細へ
PR TIMESトップへ
(2024/09/19 14:00)
- データ提供
本コーナーの内容に関するお問い合わせ、または掲載についてのお問い合わせは株式会社 PR TIMES ()までご連絡ください。製品、サービスなどに関するお問い合わせは、それぞれの発表企業・団体にご連絡ください。