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医師の働き方改革の実態調査

株式会社リクルートメディカルキャリア
若手医師の過半数が「働き方改革は働く場の選択に影響があった」

株式会社リクルートメディカルキャリア(本社:東京都千代田区、代表取締役:高崎 透、以下リクルートメディカルキャリア)は、リクルートドクターズキャリアに登録する医師169人を対象に、医師の働き方改革の実態に関するアンケート調査を実施しました。本リリースでは、2024年4月の「医師の働き方改革」施行から8カ月経った2024年12月時点の状況について紹介します。

報告書はこちら
https://www.recruit-mc.co.jp/assets/img/news/PDF_news250227.pdf




勤務医の時間外労働の上限を原則年960時間に規制する「医師の働き方改革」が2024年4月に施行されました。今回の調査によると、医師の働き方改革によって長時間労働が改善されたと回答した医師は10.1%にとどまりました。しかし、勤務施設別で見ると大学病院で勤務する医師の25.0%が「長時間労働が改善された」と回答しており、長時間労働の改善状況は勤務先の形態によって異なりました。働き方改革によって実現したことでは「あてはまるものはない」が61.5%でしたが、具体的に実現できたことのトップは「休日・休暇が十分に取れるようになった」で16.0%でした。
収入への影響は「影響なし、変わらない」が53.3%と最多で、「影響あり、減少した」が35.5%と続きました。収入が減少した要因は「残業時間が制限されることによる残業代の減少(46.7%)」が最多となりました。
また、医師の働き方改革が職場選びに影響があったか聞いたところ、「影響があった」「どちらかといえば影響があった」の合計は42.0%でした。年代別で見ると30代では56.0%と、全体の回答割合より高く、若手医師の方が職場選択において働き方改革の影響を受けている傾向が分かりました。
今後転職する際に重視する項目としては「当直有無・回数(35.5%)」、「外勤(副業)の可否、制限(33.7%)」「休暇の取りやすさ(33.1%)」が上位となり、働き方改革によって重視するポイントに変化が見られています。

医師の働き方改革により、長時間労働が改善された医師は10.1%

医師の働き方改革により長時間労働が改善されたかを聞きました。「元々長時間労働ではなかった」と回答した医師は40.8%だったものの、「長時間労働が改善された」は10.1%にとどまりました。
2023年10月に行った医師の働き方改革が施行される前の調査では、長時間労働の改善に期待すると答えた医師は32.4%でしたが、今回の結果からはまだ改善には至っていない様子がうかがえます。






出所:リクルートメディカルキャリア「医師の働き方改革に関する意識調査(2023)(https://www.recruit-mc.co.jp/assets/img/news/PDF_news240124.pdf)


長時間労働について、勤務施設別で見ると差が出ていました。クリニックや400床未満の病院では「元々長時間労働ではなかった」という回答割合が高くなりました。
一方、大学病院に勤務する医師の25.0%が「長時間労働が改善された」と回答しており、他の勤務施設と比べて長時間労働が改善されている傾向にあると考えられます。
400床以上の病院では「長時間労働が改善された」の割合が特に低く、改善の課題は引き続き残っているようです。




医師の働き方改革によって実現したことは「休日・休暇が十分に取れるようになった(16.0%)」

医師の働き方改革によって実現したことを聞きました。「あてはまるものはない」が61.5%と過半数が働き方改革の恩恵を感じていないようでした。具体的に実現できたことのトップは「休日・休暇が十分に取れるようになった(16.0%)」でした。働き方改革施行前の調査では、医師の働き方改革について期待していることの最多は「休日・休暇が十分に取れること(49.6%)」だったので一部期待通りに実現しているとみられますが、まだ十分ではないようです。

※選択率の高い順に掲載。「その他」を非表示。「あてはまるものはない」は排他項目


※選択率の高い順に掲載。「その他」を非表示。「期待していることはない」は排他項目 出所:リクルートメディカルキャリア「医師の働き方改革に関する意識調査(2023)(https://www.recruit-mc.co.jp/assets/img/news/PDF_news240124.pdf)

■医師の働き方改革についての肯定的なフリーコメント
・効率的に動けるようになった。(40代・男性)
・推進すべき。医療関係者以外の人の理解が必須。(60代・男性)
・生活のバランスが取れて全体としていいと思う。(50代・男性)
・良いことなので推進するべきですが、そのためには医師やコメディカルスタッフを増やせるような環境整
備が必要です。(60代・男性)
・現場にそぐわない規則ができてしまった感じはあるが、これからの時代には必要だと思う。今後は医師の
勤務時間が制限されたことによる弊害が診療にどう出てくるのかが気になる。(30代・女性)
■医師の働き方改革についての否定的なフリーコメント
・これ以上収入が減るなら職業の魅力はないままにリスクだけある状態になってしまう。医療の質の低下や
医師の質の低下は免れない。(40代・男性)
・一律の対応はかえって迷惑。(40代・男性)
・実態を把握していない改悪だった。(60代・男性)
・働いていないことにしているだけ。全く意味はない。(50代・男性)
・宿直の問題を解決しないと意味がない。(50代・女性)


医師の働き方改革後も53.3%の医師が収入に「影響なし、変わらない」

医師の働き方改革による勤務時間の影響を見てきましたが、収入はどうでしょうか。収入への影響があったかを聞きました。最も多かったのは「影響なし、変わらない(53.3%)」で、過半数の医師は収入に影響はないと回答しました。



しかし、こちらも長時間労働の改善と同様に勤務施設別で見るとそれぞれに特徴がありました。「元々長時間労働ではない」の割合が高かったクリニックや200床未満の病院では「影響なし、変わらない」が高いのに対し、200床以上の病院・大学病院では「影響あり、減少した」が高くなっています。



収入が減少した要因は「残業時間が制限されることによる残業代の減少(46.7%)」

医師の働き方改革によって収入に「影響あり、減少した」と回答した医師に、その要因を聞きました。最も多かったのは「残業時間が制限されることによる残業代の減少(46.7%)」でした。働き方改革施行前の調査では収入が減少する見込みの要因は「実質労働時間は変わらず、サービス残業が増えることによる収入減少(58.3%)」が最多でしたが、サービス残業は予想ほど多くはないようです。


一方で、働き方改革施行前の予想要因ではあまり注目されていなかった「外勤(副業)禁止・制限による常勤先以外からの収入減少(29.3%)」が、今回の調査では2番目に多い結果(43.3%)となり、働き方改革が始まってみると外勤への制限がかけられたというケースがあるようです。

※選択率の高い順に掲載


※選択率の高い順に掲載 出所:リクルートメディカルキャリア「医師の働き方改革に関する意識調査(2023)(https://www.recruit-mc.co.jp/assets/img/news/PDF_news240124.pdf)」


医師の働き方改革が、働く場の選択に影響を及ぼしたと考えている医師は42.0%

医師の働き方改革が、働く場の選択に影響したかを聞きました。「影響があった」「どちらかといえば影響があった」を合わせると42.0%となり、「影響はない」「どちらかといえば影響はない」の合計40.2%と拮抗しています。


しかし年代別で見てみると、「影響があった」「どちらかといえば影響があった」の合計が30代は56.0%、40代は44.2%、50代は35.6%となっており、若手医師の方が働く場の選択に影響があったと回答しています。特に若手医師の採用活動においては、働き方改革の推進度合いや、懸念点の払拭がポイントとなりそうです。

※n数が少ないため20代・70歳以上の年代別回答は非表示


転職する際に重視する項目は「当直有無・回数(35.5%)」

医師の働き方改革にて期待される取り組みや職場の変化について、転職を検討する場合に重視する項目を聞きました。最も多かったのは「当直有無・回数(35.5%)」でした。当直の回数を少なくしてゆったりと働きたい医師、当直することで収入を上げたい医師、いずれにしても当直について気になる方が多いようです。


また、働き方改革施行前の調査では5番目だった「外勤(副業)の可否、制限(25.6%)」は、今回の調査では2番目に多い結果(33.7%)となりました。前述の通り、外勤の制限によって収入が減少している医師が一定数いるため、転職する際には外勤に制限があるのかも気になるポイントとなるようです。

※「特になし」は排他項目


※「特になし」は排他項目 出所:リクルートメディカルキャリア「医師の働き方改革に関する意識調査(2023)(https://www.recruit-mc.co.jp/assets/img/news/PDF_news240124.pdf)」


解説:リクルートメディカルキャリア 営業統括部長 高野 潤



2011年リクルートメディカルキャリア入社。医師・看護師・薬剤師の人材紹介事業マネジャー、人事マネジャーを経験し2021年より現職。統括部長として薬剤師領域の求職者側・採用者側の両営業部署を管轄し、業界動向や転職マーケット情報に通じる。




調査概要

調査方法:インターネット調査
調査対象:「リクルートドクターズキャリア」に登録する全国の医師
有効回答数:169人
調査実施期間:2024年12月6日(金)~2024年12月17日(火)
調査機関:リクルートメディカルキャリア


≪調査結果を見る際の注意点≫
各数値は小数第2位で四捨五入しているため、差分や合計値(100%)において、単純計算した数値と合致しない場合があります。

リクルートグループについて

1960年の創業以来、リクルートグループは、就職・結婚・進学・住宅・自動車・旅行・飲食・美容などの領域において、一人ひとりのライフスタイルに応じたより最適な選択肢を提供してきました。現在、HRテクノロジー、マッチング&ソリューション、人材派遣の3事業を軸に、60を超える国・地域で事業を展開しています。リクルートグループは、新しい価値の創造を通じ、
社会からの期待に応え、一人ひとりが輝く豊かな世界の実現に向けて、より多くの『まだ、ここにない、出会い。』を提供していきます。
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リクルートグループ:https://recruit-holdings.com/ja/  リクルート:https://www.recruit.co.jp/
リクルートメディカルキャリアについて

1979年の創業以来、リクルートメディカルキャリアは、「医師」「薬剤師」を募集している医療関係施設に人材を紹介するサービスを提供しています。医師が医師として働きつづけ、充実した人生を送れるよう、医師の方のキャリアアップ、キャリアチェンジ、ワークライフバランスなどに応じて仕事・職場情報を提供し、転職をサポート。医療機関様に対しては、安定的な医師採用を実現するためのお手伝いをしています。
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リクルートメディカルキャリア:https://www.recruit-mc.co.jp/
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