医療・医薬・福祉

ノボ ノルディスク ファーマ、静岡県民の健康増進を図るため静岡県と「肝疾患重症化予防対策に関する連携協定」を締結

ノボ ノルディスク ファーマ株式会社
これまで培ってきた肥満症や2型糖尿病における豊富な経験と専門知識を生かし、MASLD (代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)/MASH (代謝機能障害関連脂肪肝炎) を取り巻く環境の整備を目指す

ノボ ノルディスク ファーマ株式会社 (代表取締役社長:キャスパー ブッカ マイルヴァン、本社:東京都千代田区) は、本日、静岡県 (知事:鈴木 康友) と「静岡県及びノボ ノルディスク ファーマ株式会社による肝疾患重症化予防対策に関する連携協定 (以下、本協定)」を締結しました。

本協定を通じて、ノボ ノルディスク ファーマおよび静岡県の知見やデータを有効活用し、相互に連携・協力を行うことで、静岡県における肝疾患重症化予防対策体制の構築および県民の健康増進を図ること、ならびにMASLD (代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)/MASH (代謝機能障害関連脂肪肝炎) を取り巻く環境の整備を目指します。

ノボ ノルディスク ファーマは、糖尿病で培った知識や経験を基に、変革を推進し深刻な慢性疾患を克服するというパーパスへのコミットメントを実践しています。 肥満症領域においては、治療が必要にもかかわらず適切な治療を受けることができていないという課題に向かって、肥満症の治療と予防を目指しています。さらに、肥満症や2型糖尿病における豊富な経験と専門知識を生かし、治療法の確立されていないMASHに対する取り組みを開始し、多くの人々に貢献する新たな機会として、深刻な慢性疾患であるMASLD/MASH の認知向上や、診断・管理の改善を推進してまいります。

静岡県は、全国的に非ウイルス性肝疾患が原因の肝硬変・肝がんの割合が増加傾向にあり、対策が重要となっていることを鑑み、従来の「肝炎対策推進計画」に脂肪肝等の非ウイルス性肝疾患対策を組み込み、名称を「肝疾患対策推進計画」に変更しました。
令和6年度から、肝硬変や肝がんになる県民を減らすことを目的に、肝疾患の患者を早期に発見し、適切な医療につなげるため、脂肪肝等に関する正しい知識の普及啓発や、ALT*高値者に対する適切な受診勧奨のための体制構築に取り組んでいます。

MASHは深刻な進行性の肝臓における代謝性疾患であり、適切に管理されなければ致命的となりえます。近年、非ウイルス性肝疾患が原因の肝硬変・肝がんの割合が増加傾向にあります1。また、海外の報告によると心血管疾患はMASHのある人の主な死亡原因であり、肝線維化が進行すると心血管疾患による死亡リスクが4倍高くなると言われています2-3。

ノボ ノルディスク ファーマおよび静岡県は、本協定を通して、静岡県におけるMASLD/MASHを取り巻く環境整備を全面的に支援し、 好事例を発信し全国への普及を促進してまいります。また、他地域における先行事例とともにエビデンスを構築し、非ウイルス性肝疾患対策の重要性について啓発していきます。

「静岡県及びノボ ノルディスク ファーマによる肝疾患重症化予防対策に関する連携協定」 概要
目的
肝疾患重症化予防対策を通じて静岡県民の健康増進を図る
連携協定有効期間
2025年3月21日から2026年3月31日
連携事項
(1) 地域住民、保健医療関係者の肝疾患の理解向上に資する取り組みに関すること
(2) 肝疾患重症化予防対策の構築に関すること
(3) 健康・医療のデータ活用に関すること
(4) 医療政策の動向や全国の先進事例等の情報提供に関すること
(5) その他、前条の目的を達成するために必要な事項に関すること
連携協定の概要
- 一般向けに広く疾患啓発活動を展開し、MASLD/MASHは、進行性の慢性代謝性疾患であり、肝硬変や肝細胞癌などの、より重篤な病態に至る可能性があり、早期発見、早期治療が重要であることの認識を広げる
- 自治体を起点とした、肝疾患リスクの高い患者が適切な検査・治療を受けるための仕組みを構築する
 ・静岡県内からモデル自治体を選定
 ・該当地域の特定健診等の結果から、FIB-4 index** を算出し、肝線維化リスクがある者に対して、受診勧奨通知を送付
 ・かかりつけ医から専門機関への病診連携を促進





役割
- ノボ ノルディスク ファーマ株式会社 
・静岡県民および医療従事者へのMASLD/MASHの疾患啓発
・静岡県における好事例の発信と全国への普及
・静岡県に対する情報提供 (医療政策の動向や全国の先進事例、関連学会の動向等)
- 静岡県
・静岡県民へのMASLD/MASHの疾患啓発
・肝疾患対策推進計画の策定
・静岡県内の各自治体における肝疾患対策とその評価への支援

■協定による効果
- 肝疾患高リスク患者が適切な検査・治療を受けることができる機会の増加
- 肝硬変・肝ガンの合併症予防に繋がるため、将来的な医療費の行政負担の軽減が期待できる
- 肝疾患診療の発展

スケジュール
- 2025年3月21日:連携協定締結
- 2025年4月1日~:本事業開始 (予定)

*ALT:アラニンアミノトランスフェラーゼ とも呼ばれる肝細胞に多く含まれている酵素で、アミノ酸をつくり、代謝を助ける役割を担っています。この数値を調べると肝機能障害を見つける手がかりになります4。
**FIB-4 index:血液生化学的検査データ (ALT、AST、血小板数) を用いたスコアリングシステムで、肝線維化の程度を確認できます5-6。

MASLD (代謝機能障害関連脂肪性肝疾患) について
肝臓に脂肪が多く蓄積した状態を脂肪肝といい、MASLDはアルコール性、薬物性、症候性などの二次性の脂肪肝を除く脂肪肝の総称です。非アルコール性の脂肪肝から脂肪肝炎や肝硬変に進行した状態までを含む一連の肝疾患をMASLDと呼びます。MASLDは、脂肪肝があり、5つの心代謝系危険因子(※)のうち少なくとも1つをもつ状態を指します。この脂肪肝から徐々に炎症や肝線維化が進行した肝疾患をMASH (代謝機能障害関連脂肪肝炎) といいます7。

(※) 5つの心代謝系危険因子8
i) BMI≧23 (アジア人) もしくは腹囲女性>80 cm、男性>94 cm***
ii) 空腹時血糖≧100mg/dL、ブドウ糖負荷 2 時間後血糖≧140 mg/dL、HbA1c≧5.7%、2 型糖尿病、もしくは 2 型糖尿病薬の使用
iii) 血圧≧130/85 mmHg、もしくは降圧剤の使用、
iv) 中性脂肪≧150 mg/dL、もしくは脂質改善薬の使用
v) 低HDL コレステロール血症 (女性≦50 mg/dL、男性≦40 mg/dL)

***わが国のメタボリック症候群基準では、ウエスト周囲径は男性85cm、女性90cmであり、本基準と異なる。今回の基準はあくまで脂肪肝患者の心代謝危険因子としての基準であり、今後、日本人を対象とするさらなる検討が必要である9。

MASH (代謝機能障害関連脂肪肝炎) について
MASHは肝臓に影響を及ぼす慢性的な進行性の代謝性疾患であり、適切に管理しないと死に至る可能性があります10-11。全世界において、過体重または肥満****の人々のうち、3人に1人以上がMASHも有しています12。過剰な脂肪が肝臓に蓄積すると、時間が経つにつれて肝臓の炎症や重度の瘢痕をもたらすおそれがあります13。MASHとともに生きる人々は、初期段階では特異的な症状がほとんど、または全く認められないため、それによりしばしば診断の遅れにつながります14。MASHは非アルコール性脂肪肝炎 (NASH) に替わる用語です。ノボ ノルディスクは、この疾患とともに生きる人々に対する潜在的な偏見を避け、この疾患の代謝的性質を正確に強調するために、新しい疾患名“代謝機能障害関連脂肪肝炎” (MASH) の使用を支持します。

****本資料における「肥満」とは、体格指数 (BMI) 30 kg/m2以上を「肥満」 (BMI 25 kg/m2以上30 kg/m2未満は「過体重」) とする世界保健機関 (WHO) の国際基準に基づいています15。日本では、脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態で、BMI 25 kg/m2以上のものが「肥満」と定義され、また日本における「肥満症」は、肥満があり、肥満に起因ないし関連する健康障害を合併するか、その合併が予測され、医学的に減量を必要とする病態と定義されています16。

ノボ ノルディスクについて
ノボ ノルディスクは、1923年創立のデンマークに本社を置く世界有数のヘルスケア企業です。私たちのパーパスは、糖尿病で培った知識や経験を基に、変革を推進し深刻な慢性疾患を克服することです。その目的達成に向け、科学的革新を見出し、医薬品へのアクセスを拡大するとともに、病気の予防ならびに最終的には根治を目指して取り組んでいます。ノボ ノルディスクは現在80カ国に約76,300人の社員を擁し、製品は約170カ国で販売されています。日本法人のノボ ノルディスク ファーマ株式会社は1980年に設立されました。詳細はウェブサイトをご覧ください。( https://www.novonordisk.co.jp )

静岡県について
静岡県は人口363万人で、日本のほぼ中央に位置し、太平洋に面して東西155キロメートル、南北118キロメートルの距離、7,777.43平方キロメートルの面積を有しています。海や山、湖などバラエティに富んだ自然は、日本の豊かな風土の縮図ともいえます。
肝疾患死亡率や肝がん罹患率は全国平均以下かつ減少傾向ではありますが、今後も低減させていくためには脂肪肝等の非ウイルス性肝疾患への対策が必要と判断し、昨年度「第4期静岡県肝疾患対策推進計画」を策定しました。(計画期間:令和6年度~令和11年度)
従来のウイルス性肝炎対策も含めた肝疾患対策を通じ、「幸福度日本一の静岡県」の実現に取り組んでいます。
計画の詳細はウェブサイトをご覧ください。
(https://www.pref.shizuoka.jp/kenkofukushi/shippeikansensho/kansensho/1003064/1024188.html)

参照資料
- 日本肝臓学会編:肝がん白書 令和4年度, 2022
- Vanni E, Marengo A, Mezzabotta L, et al. Systemic Complications of Nonalcoholic Fatty Liver Disease: When the Liver Is Not an Innocent Bystander. Semin Liver Dis. 2015;35:236-49.
- Ekstedt M, Hagstrom H, Nasr P, et al. Fibrosis stage is the strongest predictor for disease-specific mortality in NAFLD after up to 33 years of follow-up. Hepatology. 2015;61:1547-54.
- 全国健康保険協会 ウェブサイト (肝機能等 | 健診・保健指導 | 全国健康保険協会) 2025/1/28アクセス
- Vallet-Pichard A et al. Hepatology 2007; 46 : 32-36
- Sumida Y et al. BMC Gastroenterol 2012; 12 : 2
- 日本消化器病学会、日本肝臓学会編「患者さんとご家族のためのNAFLD/NASHガイド2023」
- 米田ほか、肝臓 2024; 65(9) :420-432
- 芥田ほか、医学のあゆみ2024 289 (5): 310-314
- Ilan Y. Analogy between non-alcoholic steatohepatitis (NASH) and hypertension: a stepwise patient-tailored approach for NASH treatment. Ann Gastroenterol. 2018;31:296-304. doi:10.20524/aog.2018.0248
- Tesfay M, Goldkamp JW, Neuschwander-Tetri BA. NASH: The Emerging Most Common Form of Chronic Liver Disease. Mo Med. 2018;115:225-229.
- Quek J, Chan KE, Wong ZY, et al. Global prevalence of non-alcoholic fatty liver disease and non-alcoholic steatohepati-tis in the overweight and obese population: a systematic review and meta-analysis. Lancet Gastroenterol Hepatol. 2023;8:20-30. doi: 10.1016/S2468-1253(22)00317-X
- National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases. Definition & Facts of NAFLD & NASH. Accessed November 7, 2024. Available at: https://www.niddk.nih.gov/health-information/liver-disease/nafld-nash/definition-facts
- Verywell Health. MASH overview. Accessed November 5, 2024. Available at: https://www.verywellhealth.com/non-alcoholic-steatohepatitis-nash-5196357
- World Health Organization, https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/obesity-and-overweight
- 日本肥満学会編:肥満症診療ガイドライン2022, ライフサイエンス出版, 2022

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