アステラス社員、拘束から2年=早期解放見通せず―中国

【北京時事】中国・北京でアステラス製薬社員の50代の男性が、当局にスパイ容疑で身柄を拘束されてから今月で2年。日本政府が求めている早期解放の見通しは立っていない。拘束の具体的な理由も不明なままで、在留邦人らの不安は拭えていない。
男性は、2023年3月20日に日本に帰任する際、身柄を拘束されたとみられる。24年8月にスパイ罪で起訴されたことが明らかになり、同年11月下旬に北京市第2中級人民法院(地裁)で初公判が開かれた。
中国では、国家の安全に関わる案件の審理は一般的に非公開で行われる。男性の公判も非公開で、どのような行為が問題とされたかなど詳細は明らかになっていない。在中国日本大使館は領事面会を続けており、男性の健康状態は特に問題ないという。
摘発の根拠となっている反スパイ法を巡っては、14年の制定後少なくとも17人の邦人が同法違反の疑いで拘束され、男性を含め5人が今も拘束状態にある。同法はスパイ行為の定義があいまいで、恣意(しい)的な運用への懸念が根強い。
22年2月には、共産党の有力紙・光明日報で論説部副主任を務め、日本の垂秀夫駐中国大使(当時)と交流のあった董郁玉氏が拘束された。董氏は24年11月にスパイ罪で懲役7年の判決を受けた。董氏の家族が米国のジャーナリスト団体を通じて出した声明によると、判決は垂氏を「スパイ組織の代理人」と認定。外交官をスパイ扱いした上、接触した自国民に懲役刑を下す手法に諸外国から批判が出ている。
それでも、「国家安全」を重視する習近平体制はスパイの取り締まりを強化している。23年7月に反スパイ法を改正し適用範囲を拡大。24年7月には、同法の運用に当たって当局者にスマートフォンやパソコンの検査権限を与える新規則を施行した。「何を理由に摘発されるか分からず常に緊張を強いられている」(日系企業関係者)といった声は多く、企業が中国でのビジネス拡大をためらう大きな要因の一つになっている。 (C)時事通信社
男性は、2023年3月20日に日本に帰任する際、身柄を拘束されたとみられる。24年8月にスパイ罪で起訴されたことが明らかになり、同年11月下旬に北京市第2中級人民法院(地裁)で初公判が開かれた。
中国では、国家の安全に関わる案件の審理は一般的に非公開で行われる。男性の公判も非公開で、どのような行為が問題とされたかなど詳細は明らかになっていない。在中国日本大使館は領事面会を続けており、男性の健康状態は特に問題ないという。
摘発の根拠となっている反スパイ法を巡っては、14年の制定後少なくとも17人の邦人が同法違反の疑いで拘束され、男性を含め5人が今も拘束状態にある。同法はスパイ行為の定義があいまいで、恣意(しい)的な運用への懸念が根強い。
22年2月には、共産党の有力紙・光明日報で論説部副主任を務め、日本の垂秀夫駐中国大使(当時)と交流のあった董郁玉氏が拘束された。董氏は24年11月にスパイ罪で懲役7年の判決を受けた。董氏の家族が米国のジャーナリスト団体を通じて出した声明によると、判決は垂氏を「スパイ組織の代理人」と認定。外交官をスパイ扱いした上、接触した自国民に懲役刑を下す手法に諸外国から批判が出ている。
それでも、「国家安全」を重視する習近平体制はスパイの取り締まりを強化している。23年7月に反スパイ法を改正し適用範囲を拡大。24年7月には、同法の運用に当たって当局者にスマートフォンやパソコンの検査権限を与える新規則を施行した。「何を理由に摘発されるか分からず常に緊張を強いられている」(日系企業関係者)といった声は多く、企業が中国でのビジネス拡大をためらう大きな要因の一つになっている。 (C)時事通信社
(2025/03/21 08:02)