治療・予防

顔や手足に突然のむくみ
命に関わることも―遺伝性血管性浮腫(埼友草加病院 大沢勲院長)

 突然、顔や手足、喉などに浮腫(むくみ)が表れる遺伝性血管性浮腫(HAE)。窒息の恐れもあるなど重大な症状を来すが、まれな病気のため医師の間でも認知度が十分でなく、適切な診断や治療に至らない患者がいるとされる。一方で、むくみの発生を予防する新薬の開発など治療は進歩している。HAEの専門外来を担当する埼友草加病院(埼玉県草加市)の大沢勲院長(腎臓内科)に聞いた。

遺伝性血管性浮腫の発作(唇のむくみ)

 ▽喉なら窒息の恐れ

 HAEでむくみの発作が生じるのは、顔や唇、手足などが多い。一過性で数日から1週間程度で消えるものの、腫れる部位が腸管だと激しい腹痛に見舞われ、喉の場合には窒息して命に関わることもある。患者の約8割は、同様の症状が血縁者にも見られる。

 発作は月1回、月2回などと繰り返し生じ得る。大沢院長によると、きっかけは物にぶつかるといった物理的な刺激、手術、抜歯、精神的なストレスなど。誘因が分からないこともあるという。

 国内患者数は2000~3000人と推定されるが、実際に診断されているのは450人程度にとどまる。最新の調査では発症年齢は平均18歳で、その後診断まで平均15.6年かかっていた。

 HAEのむくみの鍵を握るのは、血液中にあって、特定の反応が無秩序に進まないように制御している「C1インヒビター」というタンパク質だ。HAE患者は遺伝的にC1インヒビターの量や機能が低下している。すると、ブラジキニンという物質を作る反応を抑えられず、多量に作られてしまう。このブラジキニンの作用で血管から水分が漏れ出し、むくみが生じる。

 ▽発作の回数を半減

 そこで、発作時にはC1インヒビターを注射で補充したり、ブラジキニンの作用を抑制する薬を注射したりする治療が行われる。

 新たなアプローチとして、普段から薬を飲み、発作を予防する治療法が国内で1月に承認された。ベロトラルスタットという内服薬で、ブラジキニンが過剰に作られないようにする働きがある。臨床試験では、ベロトラルスタットを飲んだグループでは偽薬を飲んだグループよりも1カ月当たりの発作回数が半分に減った。副作用として下痢や消化不良、肝機能障害などが報告された。

 大沢院長は、発作が毎月のように起きる人や重症化しやすい人がベロトラルスタットの投与対象になるとみる。「発作を予防できる、または起きても軽く済むなら、勉強や家事、仕事などを普段通りにできるようになり、生活の質が改善する」と期待を寄せている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

【関連記事】


新着トピックス