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悩みは一人で抱えない!みんなで話しませんか
~オンラインで「妊活・不妊おしゃべり会」~ コロナ禍だからこそ、気軽にどこからでも

 不妊や不育で悩む人は、その悩みを誰にも話せないまま、一人で抱え込むケースが多くみられます。新型コロナ感染症の影響で一層、内向きになる日々が続いています。そうした人たちをサポートする「妊活・不妊おしゃべり会」が、Zoom(ズーム)を使って今年4月から始まっています。NPO法人「Fine(ファイン)」が運営しています。そのおしゃべり会のファシリテーター西島知子さんに詳しく聞きました。

コロナ前の2019年に開かれたファイン祭り

 ◇気持ちの整理、これからのヒントのために

 ―4月から始まったおしゃべり会はどんな雰囲気で進むのですか。

 西島 穏やかな雰囲気でのおしゃべり会です。治療段階が同じ人が集うおしゃべり会は、日ごろ誰にも話せない思いや状況を安心して話ができ、日ごろ聞くことがない他の人の考えに触れることができます。誰にも話せずにため込んでいた自分の思いを話すことで、気持ちの整理がついたり、いろんな考え方に触れ、視野が広くなったり、これからのことでヒントを得る機会になっていると思います。

 ―そもそもおしゃべり会が始まるきっかけは何だったのですか。

 西島 不妊当事者は、つらい思いや状況を誰にも話せずに抱えていることが多く、安心して分かりあえる仲間と話がしたいという思いが強くあります。コロナ前は対面でのおしゃべり会の形で、集える場を設けていましたが、コロナの影響で対面形式が難しくなってしまいました。 

 そうした対面形式の場であったFine祭りで昨年、オンラインでのおしゃべり会を試験的に実施したところ、参加者から大変好評でした。その好評だった結果を、公益財団法人「テルモ生命科学振興財団」よりコロナ禍における当事者の心のケアの重要性として認めていただき、医療貢献活動助成(2020年度)の対象に選定されました。それでオンラインでのおしゃべり会が正式に始まることになりました。

 ◇仲間として寄り添う

 ―ファシリテーターの西島さんはピア・カウンセラーという位置付けですが、このピア・カウンセラーとはどういう役割を持つのでしょうか。また、誰でもなれるものなのですか。西島さんがピア・カウンセラーになった経緯についてもお聞かせください。

ファシリテーターの西島知子さん

 西島 ピアとは“仲間”、“対等の立場”を表す言葉です。つまり、ピア・カウンセラーは、不妊を体験した当事者がFine不妊ピア・カウンセラー養成講座でカウンセリングや生殖医療について学び、不妊・不育に悩んでいる人と同じ目線で、思いを聞き、寄り添う心のケアを実施します。おしゃべり会でのファシリテーターの役目は、参加者のみなさんが、ご自身のペースで安心して会に参加し、思いを話せるようにしています。

 ピア・カウンセラーも少し先を行く仲間として、話を聞いて、時には自身の経験を話すこともあります。ピア・カウンセラーとして活動を始めるには、まずは自分の不妊体験を振り返り、受け入れる必要があります。自分が混乱をしている状態では、人の話は聞けません。 

 Fine不妊ピア・カウンセラー養成講座では、「自己を見つめるワーク」という講座も組み込まれ、受講をしながら自分自身の不妊体験を受け入れる準備期間ともなります。私自身不妊を体験しています。

 当時は今のように不妊・不育の情報があふれている時代ではなく、自分の体に何が起こって、どんな治療を受けているのか、理解することがとても難しく、「まな板のコイ」状態でした。誰にも話すことができずに、一人で抱えてストレスを強く感じていました。誰かに思いを聞いてもらいたい、同じ状況の人や経験をした人とつながることができたらと願っていました。このような、自身の思いから、ピア・カウンセラーを目指しました。

 ―不妊に悩む人たちは孤立しがちですが、アドバイスされる際に特に配慮されている点はありますか。

 西島 基本的にピア・カウンセラーはアドバイスをすることはありません。悩んでいる思いをしっかり聞いて、受け止めます。自分の思いを言葉にすることは、気持ちの整理につながります。ピア・カウンセラーは、当事者としてその思いに共感し、寄り添い、伴走者として見守ることを大切にしています。不妊に悩む人たちが、どのようなことでも安心して話ができ、一人ではないと感じてもらえるように努めています。

 ―対面でのカウンセリングとオンラインでのカウンセリグは違いがありますか。

 西島 対面カウンセリングは、クライアントにとって非日常の中で、自分の気持ちに向きあう機会となります。カウンセリングに行くための身支度の時間から、帰宅するまでの一連の時間が自分と向き合う良い時間となります。

 一方、オンラインカウンセリングは、自宅などの都合のよい場所から参加ができるため、地域を問わずカウンセリングを受けることができます。カウンセリングのハードルを低くして、だれでも受けやすいと思います。

おしゃべり会はオンラインでこんな感じで話し合う(人物はプライバシー保護のため、当事者以外の協力者です)

 ◇おしゃべり会は予約が必要

 ―カウンセリングの仕組みを料金も含めて説明していただけますか。おしゃべり会とカウンセリングは同じものと理解していいのでしょうか。

 西島 Fineのカウンセリング活動には、個別カウンセリング、グループ・カウンセリング、通話相談そしておしゃべり会があり、それぞれの目的をもって参加いただけます。

 カウンセリングは予約が必要となり有料です。

 面接カウンセリング:45分/正会員3,000円

 グループ・カウンセリング:90分/ 1,000円

 カウンセリングは、予約の段階で、一定の個人情報、現在の気持ちや置かれている環境、さらには当日話されたいことをお尋ねします。限られた時間内で多くの思いを話していただく上で事前にお知らせいただいています。クライアントの話を傾聴し、寄り添い、問題解決のために何ができるのかを一緒に考えます。時には、カウンセラー自身の経験を自己開示することもあります。

 通話相談は予約の必要がなく無料です。月に4、5回開催しています。一人の相談時間は40分ほどで、各回2人体制で3時間ほどスタンバイしています。時間内であれば都合の良いタイミングでご利用いただけます。お気軽にご利用いただくことを目的としています。

 おしゃべり会は、予約は必要ですが、現在行っているものは無料です。同じ立場の人との出会い、情報収集、話したい・聞きたい、一人じゃない安心感を得たいなどの目的をもって参加いただけます。

 ―政府も高額な不妊治療に対する補助などを政策課題として掲げていますが、政策レベルで行政に対し望まれることはありますか。

 西島 保険適用が進むのは大変ありがたいことではありますが、その制度設計がどのようになるのか分からないことが当事者は不安です。現在行っている治療が全て保険適用になるなら、当事者は大変助かりますが、保険が適用することにより、行えなくなる治療が出てきたり、望む治療が保険適用されなかったりした場合は、それを受けるために全額自費診療となってしまうなら、それは現状と変わらないことになってしまいます。さらに、現行の助成金が、保険適用のためになくなってしまうことになったら現在よりも高額な負担が当事者に課されることになります。こうした事も考えていただいた上での、当事者目線での制度設計を望みます。(了)


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