治療・予防

無動・無反応になる「緊張病症候群」
電気刺激で脳機能を改善(足利赤十字病院精神科 高田武人医師)

 強い緊張を契機に体の動きが止まり、精神活動が低下して無反応になる状態を繰り返す場合、「緊張病症候群」の可能性がある。「あがり症」と異なり、医療機関での治療が必要で、放置すると命に関わる恐れもある。足利赤十字病院(栃木県足利市)精神科の高田武人医師に聞いた。

 ▽心と体の両方に症状

 緊張病症候群は主に統合失調症、双極性感情障害(そううつ)、うつ病などの精神疾患に伴って起こる。とりわけ、50歳以上の中高年が発症する「退行期うつ病」に伴うことが多い。

 症状は、精神症状、運動症状、自律神経症状に分けられる。「精神症状は多彩で、異常な興奮状態なども見られますが、それはむしろ軽度です。重度になるにつれ、自発的な言動や反応がなくなるのが特徴です」と高田医師。

 〔1〕話し掛けられても無視する〔2〕おうむ返しのように人の言動をまねる〔3〕同じことを繰り返す―などが代表的な症状。進行すると体の動きも少なくなり、外からの刺激に反応が乏しい、昏迷(こんめい)と呼ばれる状態になる。

 運動症状は全身の筋肉の緊張が起こり、同じ姿勢をいつまでも取り続けることがある。せき、嚥下(えんげ)などの反射も低下する。さらに、自律神経症状として高血圧、頻脈、異常な発汗、発熱、尿が出なくなるなどの症状もある。

 「怖いのは、昏迷に運動症状や自律神経症状が重なることです。体も動かず、自分で飲食ができなくなることも。誤嚥(ごえん)性肺炎、窒息、肺血栓塞栓症など、命に関わる合併症を起こしやすくなります」

 ▽電気刺激が効果的

 診断は、精神科医の診察によって行う。「脳炎や認知症で似た症状が表れ、誤診されるケースがあるので要注意です。特に脳炎は、鑑別のために検査が必要です」

 治療は「電気けいれん療法」が有効だ。頭部に電気刺激を与え、脳内にけいれん時のような変化を人為的に作り出し、脳の機能を改善する。「現在は麻酔をかけた上で行うため、患者さんに苦痛や危険はなく、寝ているうちに終わります。効果は高く、私の臨床経験では、緊張病症候群のほぼ全例に改善が見られました」

 ただ、電気けいれん療法を実施できる医療機関は少ないのが現状。薬物療法では、てんかん治療などにも用いられるベンゾジアゼピン系の薬が有効なケースもある。

 「緊張病症候群は、適切な治療を受ければ改善する可能性が高い。治療経験の豊富な精神科医を受診されるといいでしょう」と高田医師はアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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