治療・予防

運動中の呼吸困難、喉の詰まり
~運動誘発性喉頭閉塞症(和歌山県立医科大付属病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科大谷真喜子講師)~

 運動のピーク時に突然喉が詰まり、息ができなくなる運動誘発性喉頭閉塞(へいそく)症(EILO)。「運動量が多くなる思春期から増え始めます。男性より喉頭が小さい女性、特にアスリートに多い病気です」と和歌山県立医科大付属病院(和歌山市)耳鼻咽喉科・頭頸部外科の大谷真喜子講師は話す。

喉頭が小さな女性に多い運動誘発性喉頭閉塞症

 ▽強く息吸うと喉頭閉塞

 喉頭は気管の入り口にあり、筒の形をしている。通常、息を吸う時は喉頭の内腔が開いて空気を通す。EILOを起こす人は喉頭上部にある粘膜や喉頭蓋(がい)という組織が軟らかいため、運動がピークに達した時の息を吸う強い力に負けて喉頭内腔へ引き込まれ、喉頭が詰まってしまう。

 息を強く吸わなければ、粘膜や喉頭蓋が喉頭に引き込まれることはない。このためEILOの呼吸困難は普段の生活では起こらない。起きた時は運動を中断したり、運動の強度を落としたりすると数分で回復する。

 0~2歳ごろに見られる、泣いた時に息ができず顔が真っ青になる喉頭軟弱症は、成長に伴い自然に治るが、EILOとの関連も指摘されている。

 医師の問診では、呼吸困難になるのは息を吸う時か吐く時かを尋ねる。息を吸う時の場合はEILOが疑われるため、強く速い息をする状態で喉頭内視鏡検査を行い、診断する。

 治療には呼吸筋トレーニングと、外科手術の声門上形成術がある。大谷講師は「競技種目やアスリートとして求める競技パフォーマンスによって治療法は異なります」と説明する。

 ▽まずEILO知って

 EILOの割合は北欧の健康な若年者で5~7%、思春期のアスリートに限れば15~35%といわれる。日本では認知度が低く、患者数は不明だ。

 「運動誘発ぜんそくや過換気症候群と間違えられることもあります」と大谷講師。運動誘発ぜんそくは息を吐く時に苦しくなり、運動を中断しても発作が15分ほど続き、回復までに30分ほどかかる。過換気症候群は不安や緊張で発症し手足のしびれを伴う。いずれもEILOも合わせて発症する場合があるため間違えられやすいが、EILOは運動誘発ぜんそくや過換気症候群の治療では改善しない。

 大谷講師は「ぜんそくの治療を受けても改善が見られない、息を吸った時に喉が詰まるといった場合には、喉頭を専門とする医師やスポーツドクターの耳鼻科医に相談してください」と助言している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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