女性アスリート健康支援委員会 「食」の要注意サイン、ありませんか

スポーツ女子が練習量に見合った糖質を取るために
ごはんからチェック! 公認スポーツ栄養士が説く注意点

 「中高生のスポーツ女子は、健康を守るためにも、運動量に見合ったエネルギーを補給してください。不足しがちな糖質(炭水化物)をきちんととることが特に大切です」

  大妻女子大教授の小清水孝子先生は、公認スポーツ栄養士の資格を持ち、女性アスリートの栄養サポートや栄養教育に取り組んでいます。今回はスポーツ医学や自身の研究も踏まえて、糖質摂取の注意点を教えてくれました。

 「不足しがちな糖質をとることが特に大切」と強調する小清水孝子先生
 健康を守る基本は、体を「利用可能エネルギー不足」にしないよう、運動量と食事量のバランスに常に注意すること。利用可能エネルギーとは、「食事などでとる総エネルギー摂取量から、運動によるエネルギー消費量を差し引いて除脂肪量(体重から脂肪組織の重量を差し引いた値)で除した値」で、生体機能維持に利用するエネルギー量を意味します。

 「無理な減量やトレーニング量の増加で、1日の利用可能エネルギー(除脂肪量1キロ当たり)が30キロカロリーを下回ると、黄体化ホルモンの分泌が抑制され、月経周期異常につながると報告されています」(小清水先生)

 ◇糖質摂取が足りない無月経の選手

 小清水先生は実際に、大学・高校・中学の運動部員ら77人の女性アスリート(平均年齢18.8歳)を対象に、食事や月経などの状況を詳しく調べたことがあります。調査対象者の13%は無月経で、彼女たちの利用可能エネルギーは平均25.8キロカロリーと、正常月経群の平均37.5キロカロリーに対して低い値でした。

 「正常月経群も無月経群も、食事からのエネルギー摂取量に有意な差はないものの、無月経群は1日の練習時間が正常月経群の209分(約3.5時間)に対して266分(約4.5時間)と長いため、運動によるエネルギー消費量が1日1233キロカロリー(正常月経群は1日平均853キロカロリー)と多く、練習量に見合ったエネルギー量を補給できていませんでした」(小清水先生)

 小清水先生が特に問題視したのが、運動時の主なエネルギー源になる炭水化物(糖質)の不足です。

 IOCの糖質摂取ガイドライン(Health Management for Female Athletes Ver.3を参考に作成)
 アスリートの糖質摂取については、国際オリンピック委員会(IОC)が一つの目安となるガイドラインを示しています。それによると、「かなり高強度」(1日4~5時間)のトレーニングをしたときの糖質の必要量は、体重1キロ当たり1日8~12グラムです。

 ところが、無月経の選手たちは「かなり高強度」の練習をしていたのに、平均で同5.6グラムしか糖質をとっていませんでした。これは、例えば体重50キロの場合、ごはんならどんぶり(1杯300グラム、糖質量111グラムで計算)で1日に3.5~5.5杯分くらい食べるのが望ましいのに、2.5杯分くらいしか食べていなかったことになります。

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