サウナ習慣で健康増進
~認知症や心筋梗塞予防効果も期待(日本サウナ学会代表理事 加藤容崇医師)~
「サウナー」と呼ばれるサウナ愛好者が季節を問わず増えているが、サウナは中高年にもお勧めの健康法だという。
日本サウナ学会代表理事の加藤容崇医師は「リラックス効果に加えて、サウナは認知症や心筋梗塞などの予防効果が期待できます。特に初心者は無理をせず、高温のサウナ室や水風呂に徐々に体を慣らしていきましょう」と話す。
サウナ室での過ごし方
▽心臓・血管をケア
サウナとは、「サウナ室(80~100度の高温環境に短時間)」「水風呂(最大1分)」「休憩」を1セットとするサウナ浴を指し、基本は3セット繰り返す。加藤医師は「サウナは、一時的に体を緊張状態にして自律神経を刺激し、その反動で休憩時に深くリラックスさせることができます。サウナの習慣は、自律神経を整えて血管の弾力性を増す効果があり、疲労回復や睡眠の質の改善、認知症、心筋梗塞などの心血管病の予防に有益と考えられています」と説明する。
ただし、サウナ室や水風呂での痩せ我慢は逆効果になる。「心地よい程度にとどめ、万一、気分が悪くなったらすぐに出ること。サウナ室は、個々人の心拍数(軽い運動程度の上昇)を目安に出るのがベストです。3セットで500~1000ミリリットルの汗をかくため、各セットの合間にコップ2、3杯の水分を補給してください」
▽脳の疲労回復も
サウナ室で深部体温が上昇すると、脳血流は低下する。「高温環境で脳は省エネモードになり、思考は停止します。暑い中で呼吸に集中することで脳の疲労回復が促され、実際に脳波や脳機能にもその好影響が見られます」と加藤医師。
雑念が浮かんでくるときの脳回路は「デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)」と呼ばれ、脳は多くのエネルギーを消耗している。サウナはDMNの稼働を抑制し「燃費効率」を改善することで脳疲労を軽減し、集中力アップや深い睡眠時間の増加につながると考えられている。
サウナでは血圧が変化する。高血圧などは治療により病状が安定していればサウナ浴が可能なケースもあるが、加藤医師は「持病のある人は事前にかかりつけの医師に相談してください」と注意を求める。飲酒後や二日酔い、体調不良や風邪症状のある人、10歳未満の子どもなども利用できない。
「サウナの疾病予防効果は、週3~4回以上の頻度で継続するほど高くなると考えられています。まず、身近な銭湯やジムなどに併設されたサウナで試してみてほしい。日常生活でのパフォーマンス向上や疾病予防を目的とした健康法として、幅広い世代に有益だと思います」と加藤医師は助言している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2022/09/18 05:00)
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