命に関わるケースも
~急性アルコール中毒(国際医療福祉大学成田病院 志賀隆・救急科部長)~
忘年会、新年会のシーズンに限らず、気を付けたいのが過度の飲酒による急性アルコール中毒だ。楽しいはずのうたげを台無しにしてしまうだけでなく、命に関わるケースも後を絶たない。国際医療福祉大学成田病院(千葉県成田市)で救急科部長を務める志賀隆教授は「自分の適量を知らない人も多いので、一緒に飲む人がお互いに気を付けながら飲酒してほしい」と呼び掛けている。

救急車を待つ間の回復体位
◇年間1万人が救急搬送
急性アルコール中毒では、短時間に大量のアルコールが体内に入り、肝臓で分解できなかった分が血液を介して脳に達し、神経細胞の機能が低下する。これにより、意識や知覚、感情や行動などが一時的に変化。意識レベルの低下や嘔吐(おうと)、呼吸状態の悪化が見られる。一般的に「酩酊(めいてい)」と呼ばれる状態が急性アルコール中毒だ。
急性アルコール中毒による救急搬送者は東京消防庁管内で毎年1万人を超える。「特に若年世代に多いが、中高年層も注意が必要です。搬送後に暴れたり、看護師にセクハラをしたりと、医療者が対応に難渋するケースもあります」
水と一緒に飲みながらほろ酔い状態で止めるのが最善策で、歩行がふらつくレベルになったら要注意だ。「その状態を超えると、嘔吐したり、さらに血中アルコール濃度が高まると寝てしまったりして、危険です」
◇2時間で3~4杯まで
急性アルコール中毒と思われる人を見掛けたら、どのような対応をすべきか。志賀教授によると、〔1〕呼び掛けに応じず、頬を強めにたたいても反応がない〔2〕体に触れると体温が低い(特に寒い時期の屋外など)〔3〕意識がないが大量に嘔吐している〔4〕呼吸時にヒューヒューという音がする―といった場合には、迷わず119番通報をしてほしいという。
「救急車の到着を待つ間に、呼吸をしやすくするため体を横向きにさせる回復体位という姿勢を取らせてください。ネクタイを外し、衣服は緩めてあげましょう。吐いた物で窒息しないよう、口元は床に向けます。窒息やけがのリスクもあるため、一人にさせないことも大切です」
何より重要なのは予防だ。「アルコールの代謝には個人差がありますが、ビールなら2時間で男性は4杯程度まで、女性は3杯程度までを目安としましょう。一気飲みは厳禁です。もちろん、少なければ少ないほど、急性アルコール中毒のリスクは下がります」とアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2025/03/03 05:00)
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