治療・予防

高齢だからと諦めないで―特発性正常圧水頭症
治療可能な認知症

 厚生労働省の推計によると、2025年の認知症の患者数は700万人を超えるという。認知症が社会的な問題として重視される中、「治療可能な認知症」として注目されているのが特発性正常圧水頭症だ。洛和会音羽病院(京都市)正常圧水頭症センターの石川正恒所長に聞いた。

 ◇歩行障害や物忘れ

高齢者にはありがちだが、歩くのが遅くなるのも症状の一つ
 特発性正常圧水頭症では、頭蓋骨の中や脊髄を流れる髄液が、脳の中心にある脳室や脳底部の脳槽と呼ばれる場所に多くたまり、脳を圧迫してその機能を妨げると考えられている。

 症状としては、がに股で足を引きずるようにして歩く歩行障害や頻尿・失禁、物忘れ、うつ症状などがある。しかし、いずれも高齢者にはよく見られる症状のため、見過ごされることも多いと推測されている。

 「被害妄想や徘徊(はいかい)などを起こすアルツハイマー型認知症とは異なります。治療を受けずにいると歩行障害が悪化して寝たきりになる可能性もあります」と石川所長は強調する。65歳以上の1~2%が発症しているとされ、年齢とともに発症率は高くなるという。

 診断は脳内部を画像化するコンピューター断層撮影装置(CT)や磁気共鳴画像装置(MRI)などを使って、たまった髄液で拡大した脳室が周辺を圧迫していないかどうかを調べる。

 ◇7割以上が手術で改善

 石川所長によると、特発性正常圧水頭症の特徴は、手術で脳の髄液の流れを改善させれば70~80%の確率で症状が改善することだという。

 手術の有無の判断は、脊髄から髄液を針で抜き取る「タップテスト」で症状の改善具合を確認した上で行う。テスト数日後までに歩行障害などに改善が見られれば、脳室内にたまった髄液を腹腔(ふくくう)に送る「髄液シャント術」という手術を行う。

 石川所長は、「痛みがないのに歩く速度が年とともに遅くなるといった症状があったら、脳神経外科や神経内科、物忘れ外来などを受診してみてほしい」と勧めている。 (メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)



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