企画特集

依存症からの回復を目指して 理解啓発サポーター 前園真聖の現場リポート

 アルコールに代表される依存症で家族や勤め先などに迷惑をかけると「意思が弱いからやめられない」などと、しばしば世間から冷たい視線を向けられる。しかし、実際は誰でもかかりうる精神的な病気だということは、あまり知られていない。回復に向けては専門病院などでの治療に加え、同じ悩みを持つ人たちとの交流が推奨されている。断酒を続けており、依存症の啓発活動に協力しているサッカー元日本代表の前園真聖さんが、アルコール、薬物、ギャンブル等からの回復を支援する三つの自助グループなどを訪問し、依存症の「今」を報告する。

〔第1回〕東京断酒新生会

 ◇つらさ共有が「一番の薬」

 前園真聖さんは、2013年に酒に酔って暴力事件を起こし、現行犯逮捕された。この時、「家族、友人に悲しい思いをさせたのがショック」と痛感。それ以来、断酒を続けている。依存症だったわけではなく、支援組織などの助けを受けず飲酒を絶ったが、今回訪問した東京断酒新生会は、アルコール依存に苦しむ人、苦しんだ経験を持つ人が集まる自助グループの「例会」。各地の公共施設などで連日開催している会合の一つで、「酒浸り」の日々に戻らないために参加者が語る過去や現況に静かに耳を傾けた。

 この日の例会に参加したのは約10人。自身が飲酒を始めた経緯、朝から酒を飲みながら仕事をしていた時代のつらさなどを順番に話した。

 ◇脳の病

 背筋をピンと伸ばして聞いていた前園さんは、「依存症を隠し、言えないというのが本人は一番つらいのではないか。言えば楽になっていくし、言える環境づくりが大事だと思う」と語り、経験を共有しあう場が依存症の回復に効果があると実感した。

 依存症になる仕組みは医学的に解明されている。アルコールの摂取で快楽物質ドーパミンが脳内に分泌されるが、飲酒が習慣化すると耐性ができてドーパミンが出にくくなり、焦燥感や不安さえ感じるようになる。脳が快楽を求めるため摂取量が増加。悪循環がエスカレートすると本人の意思ではコントロールできなくなってしまう病だ。

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