企画特集

依存症からの回復を目指して 理解啓発サポーター 前園真聖の現場リポート

 ◇大切な家族の役割

 専門病院での治療が必要なアルコール依存症患者は100万人強に上る。しかし、実際に治療しているのは外来で年9.6万人程度しかいない。その原因について、自身も依存症に苦しんだ東京断酒新生会の保坂昇事務局長は「自分が依存症だと認めようとしない。認めたくない」ことにあると説明。治療への第一歩は「家族の説得によって専門医を訪れるケースがほとんど」「回復に向けても家族の役割が極めて大切だ」と指摘する。

 このため断酒会は、依存症患者の家族を歓迎。家族だけが集まる例会も開催している。

 病院などで治療を受けて身体からアルコールを完全に抜いても、その後が極めて重要になる。脳内にいわゆる「快楽を求める回路」が残っており、「一口飲酒すれば、また元の状態に戻ってしまう」ためで、やめ続けることが不可欠だ。

 ◇回復を助ける環境

 断酒会は、飲酒をやめ続けるための自助グループとして運営されており、例会は言いっぱなし、聞きっぱなしが原則。「同じ経験をした人の話を聞くことが一番の薬になる。聞くことによって自分はどうだったかを考え、依存症だった自分を見つめ直せる」というのが、今回の例会参加者の言葉だ。

 また、話すこと自体が依存症の人にとって大きな助けになる。「依存症だと知られるとレッテルを貼られ、社会から排除されてしまう。カミングアウトもできず、孤立してしまう」のが日本社会の実情。周りに隠しながら飲酒を続け、依存症に陥ってしまう。「話すことで気が楽なる」のだが、それさえできないのだ。

 前園さんは「本当は周りの友人や会社の仲間に言えた方が楽になる。日本は依存症の方への配慮、回復を助ける環境が整っていないと思う。『頑張ってね』と応援してくれる人、やめていることを『すごいね』と励ましてくれる人がいると、依存症の方も前向きになれる」と語り、依存症をめぐる社会環境や周囲の意識変化の重要性を訴えた。

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