治療・予防

もっと盛りたい!があだに =まつげのトラブル

 女性が最も強調したいメークのポイントは目元。特に、まつげにボリュームを持たせて、目を大きく見せることに腐心する。ビューラーでカールさせてマスカラを塗るだけではない。まぶたの皮膚に「つけまつげ」をつけたり、パーマをかけたり、人工毛を接着する「まつげエクステ」を施す女性も多い。しかしこうしたケアがあだとなり「睫毛(しょうもう)貧毛症」を発症するケースがある。

 「まつげが抜けてまばらになったことや、まつげ自体が細い、短い、薄いことで悩んでいる方は多いですね。医学的には『睫毛貧毛症』と呼ばれています。日々の物理的な刺激によって起こるだけでなく、加齢によってまつげが減ることもあります」と話すのは、聖心美容クリニック東京院(東京都港区)の佐々木直美医師だ。

 このほか、抗がん剤治療の副作用でまつげが抜けてしまう、アトピー性皮膚炎乾癬(かんせん)などで目の周りに強い炎症が起こり、脱毛してしまうケースも睫毛貧毛症と呼ばれる。

 ◇塗り薬で改善

 睫毛貧毛症の改善薬として、2014年夏に厚生労働省が認可したのがグラッシュビスタ(商品名)という塗り薬だ。「緑内障患者のまつげがフサフサになったことから研究が進み、ビマトプロストという成分がまつげの毛周期に働きかけ、育毛効果があることが分かったのです」

 まつげの生え際に1日1回塗布することで、発毛や育毛を促進する。個人差はあるが、約8週間でしっかり生えそろうという。目の手術を受けた人、妊娠中や授乳中、15歳未満の子どもには原則使用できず、アレルギーのある人は医師に相談が必要だ。

 「まつげが少ないことで起こる健康への弊害は大きくありませんが、貧毛症で悩んでいる人が多いのは事実。まつげは植毛も難しい部位なので、画期的な塗り薬が認可されて良かった」と佐々木医師は話す。

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