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ギャンブル依存からの回復を目指して
支援施設グレイス・ロード~見えづらい実態~ 理解啓発サポーター 前園真聖の現場リポート〔3〕

 ◇ネットで海外カジノも

 生涯でギャンブル等依存が疑われる人の割合は成人の3.6%、推計すると約320万人となる。しかし、アルコールなどと違ってギャンブルは「自己責任との考え方が強く、病気として社会に認められていない」というのが、自身も依存症だった池田文隆・甲斐センター長の指摘だ。このため、日本の支援施設には長い歴史があるわけではない。

 グレイス・ロードの設立は2014年12月。入所者58人の平均年齢は約32歳と若い人の利用が目立つ。利用が広がった要因について植竹さんは「IR法により、ギャンブル依存症という言葉が世に出たことが大きい」という。

 また若い入所者が多い理由として、ネット社会の影響を指摘する。今はインターネットを通じて競馬、競輪や海外カジノさえも楽しめる時代。「若年層が手元でギャンブルをできてしまう」という手軽さによって、依存症が一段と拡大する事態を懸念する。

 ◇前園さんも認識を新たに

 施設訪問を終えた前園さんは「薬物とアルコールは体内に入れ、体が覚えている。そうではないギャンブルは『すぐにやめられるでしょ』と思っていた。しかし、そうじゃない」と認識を新たにした。また、「パチンコ店が日本中どこでもあるし、やめられない環境になっている」と語り、ギャンブル等の依存から回復する難しさを痛感し、さらなる対策の必要性を訴えた。


〔グレイス・ロード入所者の経験談〕

◎パチンコしながらスマホで競馬
 ~うつ状態、薬物自殺も考えた~

 ギャンブルを始めたのは17歳の時です。友達に連れられて競馬をしたのですが、外れたのが悔しく、その後一人で行くようになりました。専門学校に入ってからは、仕送りを受けながら数千円単位で賭けていましたが、21歳で看護師になると加速していきました。

 ◇ひりつくような感じ

 10万円、当たっていれば100万円という単位を1日、2日で使うのが当たり前でした。給料は30万円くらいでしたが、その日のうちに使っていました。右手でパチンコしながら、左手で携帯を使って競艇をし、次に競馬や競輪。家に帰って夜11時からFXを朝まで続けました。土日が休みでしたので、朝から2日間、ほぼ寝ずにギャンブルをしていた時期もありました。

 あのひりつくような感じというか、競艇、競馬で予想している時から楽しくて、やめる気もなかったです。


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