治療・予防

指先の動きが不自由に
中高年に多いヘバーデン結節

 指の最も爪に近い関節(DIP関節)が変形するヘバーデン結節は、変形性関節症の一つだ。痛みを伴うこともあり、指先を使う日常の動作が困難になる。原因は不明で、はっきりとした遺伝性は確認されていないが、近畿大学医学部付属病院(大阪府大阪狭山市)整形外科の柿木良介教授は「親子は体質が似ていることから、親が発症したら子どもや孫にも注意が必要です」と話す。

痛みで指が思うように動かせず、日常生活が不自由に

痛みで指が思うように動かせず、日常生活が不自由に

 ▽ズキズキとした痛み

 へバーデン結節は、主に人さし指、中指、薬指、小指のDIP関節が赤く腫れ、こぶ(結節)のように膨らんだり、曲がったりする。ズキズキとした痛みを伴うことが多く、関節に水がたまると、その付近に水膨れのようなものができることもある。

 関節の変形と痛みにより、関節だけではなく、その指全体を思うように使えないということが起こる。例えば、コップや皿を持つ、ポリ袋を広げる、リモコンや携帯電話を操作するなど、日常でこの関節に力を入れて指を曲げる場面は多い。その都度痛みを感じるため、生活に支障を来す。

 「ヘバーデン結節の発症は30歳を過ぎたころから多くなり、年齢とともに増加します。男女差なく認められますが、痛みや変形の強いケースは女性に多いです。最近、女性ホルモンとの関連が指摘されています」と柿木教授。

 ▽早期から予防を

 へバーデン結節では、DIP関節の軟骨がすり減って骨と骨の隙間が狭くなり、骨同士がこすれ合うことで関節が破壊される。すると、骨棘(こつきょく)という出っ張りが形成され、関節の変形が顕著になる。「関節リウマチは全身の関節に変形が起きます。指のDIP関節に限定的な変形と痛みがあり、血液検査でリウマチの疑いがなければ、へバーデン結節を強く疑います」

 治療は、痛みの除去と変形の進行抑制を目的とする。痛みがあるときに動かすと腫れも痛みも増すので、極力指先の使用を避け、テーピングや装具で指先の関節を固定し、動きを制限する。痛みが強い場合は、湿布や痛み止めを使用し、それでも痛みが続く場合は関節内へ副腎皮質ホルモン剤を注射することもある。

 また、最近女性ホルモンに似た働きをするサプリメントの摂取が、症状の改善に有効との報告もある。重症の場合は、手術によりDIP関節を動かないように固定する方法がある。固定しても日常生活に支障が生じることはほとんどない。

 柿木教授は「変形した関節は元の形には戻りません。早期に受診し治療することが重要です」と話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)


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