一流に学ぶ 角膜治療の第一人者―坪田一男氏

(最終回)常に「ごきげん」の道を=ベンチャービジネスに意欲

 坪田氏は2017年で62歳に。あと3年ほどで退官になる。そこで次なる人生のステージに向け、4月から母校の慶応大ビジネス・スクール(KBS)に通い始めた。2年間、土曜日中心のカリキュラムで学び経営学修士(MBA)の取得を目指す。

 「年のせいで物覚えが悪くなったと言う人が多いけど、僕は子どもの頃からずっと覚えるのが苦手でした。でも3回で覚えられなければ、10回やればいい。要は努力が足りないんですよね」

例えば、論文を読んだら24時間以内にサマリー(要約)をレコーダーに吹き込んで、繰り返し聞く。学生時代から実践してきた勉強法で、医師国家試験の勉強にもカセットテープを使っていた。

「卒業後にこのテープを後輩にあげたらコピーが出回るほど人気が出たので、『耳で覚える国試シリーズ』と称して売り出したら、口コミで広がって、1000セット以上売れました」

◇パートナー企業とともに

2015年には、ベンチャービジネスの会社「坪田ラボ」を設立した。ドライアイ、老眼、近視、アンチエイジングといった、これまで培ってきたサイエンスを社会に役立てるための会社だ。

「例えば、バイオレットライトを発光する商品を開発するとしたら、自分の会社で何もかもやるのではなく、パートナー企業を見つけてその企業を育てる。そうすれば、いろいろな事ができるでしょう。そういうビジネスモデルが自分に合っていると思っています。時々、医者が金儲けするのはけしからん!と言われることもありますが、それはちょっと違うと思うんです。今、大学の責務に産業創生が加えられました。医療分野でもイノベーションが求められている。知財戦略は経済の要です。ボランティアでできることは限られています。アイバンクがいい例です。資本主義の社会で、経済が成り立たなければ、人を助けることもできません。みんながハッピーになれることを実現していきたいと思うのです」

 坪田氏の一番好きな言葉は「ごきげんだから、うまくいく!」。そのタイトルで本を出版し、2015年には同タイトルのミュージカルの上演も実現した。

 「何かがうまくいったからごきげんだ、というのは他者に自分の人生をゆだねていることになります。何かの結果でごきげんになるのではなく、どんなときも自らごきげんを選択するのです。人生には思い通りにいかないことも多い。ただ、それを楽観的に受け止めるか、悲観的に受け止めるかは個人の選択次第です」

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