角膜治療の第一人者―坪田一男氏|一流に学ぶ
「ごきげんだから、うまくいく」
慶応大医学部眼科学教室教授の坪田一男氏は、角膜治療の第一人者だ。角膜移植のための独自のアイバンク創設、再生医療を臨床応用した角膜移植術、屈折矯正手術(レーシック)、ドライアイの研究、近視の予防、抗加齢医学など、眼科領域における数々の最先端技術の導入に取り組んできた。
角膜移植を受けたい人がいるのに、角膜が足りない―。それならば自分たちでアイバンクを創ろう、と動き出す。資金調達やマンパワーの確保も考えると、途方に暮れるほどの仕事に見えるが、医師仲間だけで解決できない問題が生ずれば、必要なサポートを求めてどんどんネットワークを広げていった。
前例にとらわれずに新しいことを始めようとすれば、必ず抵抗に遭う。困難が立ちはだかったときには、「患者に役立つのかどうか。患者に喜んでもらえるかどうか」という基本に立ち返り、行動してきた。発想の基本には『ごきげんだから、うまくいく』という信念がある。「自分たちが最初から楽しんでいれば、環境がどうであれ、どんどん進んでいくことができる。うまくいくからごきげんなのではなく、ごきげんだからうまくいく」。その極意とは?