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増える女性アスリートの膝前十字靱帯損傷
リスクの男女差知り、予防を意識したトレーニングを 【オンラインセミナー応援企画】

 ◇けがのリスク、骨格の特徴や筋力とも関連

 膝前十字靱帯損傷はなぜ、男性よりも女性に多いのか。まず、受傷のリスクにつながりやすい骨格上の特徴がある。

着地などの際、前十字靱帯損傷を起こしやすい動作と起こしにくい動作がある

 女性は一般に、男性と比べて身長の割に骨盤の横幅が広く、出産のために骨盤の内径も大きい。そのため、太ももの前側の筋肉「大腿四頭筋」のライン(骨盤の外側と膝蓋骨を結ぶ線)と、膝の曲げ伸ばしに関係する膝蓋腱(しつがいけん)のライン(膝蓋骨と脛骨粗面を結ぶ線)の角度のずれ(Qアングルと呼ばれる)が、男性よりも大きくなる傾向がある。

 その結果、正面から見た膝関節は「外反(がいはん)」といって、体の中心軸に対して外側に反った状態になる。「X脚気味になり、膝が体の内側に入りやすい」と武冨医師は説明する。

 また、女性は脛骨上部の平らな関節面(大腿骨と接する面)の後方傾斜角(体の後方に向かって下がる傾斜の角度)が男性より大きいという傾向もある。このため、大腿骨経由で体重の負荷がかかるとき、脛骨が前方にずれやすい。

 筋力の男女差もリスクにつながる。女性は膝の曲げ伸ばしに関係する大腿四頭筋やハムストリングの筋力(体重比)が男性よりも弱い傾向がある。

 ◇女性ホルモンによる関節の緩みも

 この二つの筋肉の筋力バランス(H/Q比と呼ばれる)も問題になる。「けがの予防という意味では、大腿四頭筋の筋力を1とすると、ハムストリングは0.6程度は必要だが、女性は男性と比べてHQ比が低めでバランスが悪く、前十字靱帯損傷に限らず、さまざまなけがのリスクにつながる」という。

 さらに、関節の「緩みやすさ」もリスクに結びつくと考えられている。最近注目されているのは、月経周期の黄体期に分泌されるリラキシンという女性ホルモン。この時期、関節を少し緩める方向に働くとされ、分泌量が多いアスリートは、前十字靱帯損傷のリスクが高いとの研究報告もある。

 こうした女性特有の骨格や筋力、関節弛緩性がベースにあって、最後にスポーツの動作が受傷のリスクを左右する。武冨医師は「動作中の体の使い方にも男女の違いがあってリスクに影響している」と説明する。


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