月経周期とからだに与える影響 家庭の医学

 月経周期の時期によって特異的な症状があらわれることがあり、月経随伴症状といいます。生理的範囲内で心配ないことが多いですが、症状が強い場合、病気が潜んでいる可能性も十分あります。

■月経時
 多くの女性が程度の差はありますが下腹痛、腰痛、頭痛、吐き気、嘔吐(おうと)、下痢、めまい、乳房(にゅうぼう)痛、胃痛、精神不穏(ふおん)感などの月経随伴症状をうったえます。痛みの症状が重症なため就労や日常生活が困難となる場合には、月経困難症と診断され、疾患を伴う場合には器質性月経困難症、疾患を伴わない場合には機能性月経困難症という名称で分類されます。月経困難症は報告と程度によっても異なりますが、実に70%以上の女性が罹患(りかん)しているともいわれています。下痢、便秘やうつ、不眠などがある場合には月経前症候群(PMS)、症状が重症で日常生活にも支障をきたす場合には月経前不快気分障害(PMDD)と診断されますが、これらの症状は月経の日数が経過するにつれ軽快していく特徴があります。

■月経前
 月経の10日から数日前より下腹痛、腰痛、乳房痛、頭重(ずじゅう)感、精神不穏感、イライラ感、憂うつ感、浮腫(ふしゅ)、体重増加などの症状が出現し、月経開始とともにすみやかに消失することがあります。多くの場合、生理的範囲内ですが、日常生活に支障をきたす場合には、その程度によって月経前症候群(PMS)または月経前不快気分障害(PMDD)と診断されます。これらの症状は月経困難症に匹敵するくらい頻度が高いと考えられており、検査や治療を受けることで症状が軽快する可能性があります。また、月経期に片頭痛が生じることがあり、月経時片頭痛という病名がつきます。

■中間期
 排卵期に軽度の子宮出血がみられることがあり、中間期出血といわれています。出血の原因としては、排卵期のホルモン変動に伴って子宮内膜の一部が破綻(はたん)するためとする説がありますが、詳細は不明です。また、排卵直前には卵胞が大きく腫大するために下腹痛が出現することがあり、排卵痛と呼ばれています。排卵後は急速に痛みが消失します。これらは病的なものではありません。

(執筆・監修:東京大学大学院医学系研究科 准教授〔分子細胞生殖医学〕 平池 修)