脳外傷による高次脳機能障害〔のうがいしょうによるこうじのうきのうしょうがい〕 家庭の医学

 近年、交通外傷から回復したあとにいろいろな障害が起こっていることに気づくことが多くなりました。こういう障害があることが広く知られるようになり、自動車保険の損害保険にあらためて請求することが可能になっています。
 もの忘れが目立つ、新しいことを学習できない、短気で怒りっぽい、しつこく妙にこだわる、飽きやすい、感情の起伏・変動が激しく気分がころころ変わる、集中力が低下していてすぐに気が散る、発想が幼児的で自己中心的、おしゃべりで話の内容がすぐに変わる、話がまわりくどく要点をつかめない、計画的な行動ができない、行動が緩慢で手の動きが不器用、同時に2つのことができない、自分では何もやろうとしない、暴力行為がある、行動に抑制がきかない、おしゃれをすべきところでおしゃれをしない、寝付きが悪くすぐさめる、性的な行動が目立つ、友達ができない、人混みの中に出かけることをきらうなどの特徴があります。
 診断はCT(コンピュータ断層撮影)あるいはMRI(磁気共鳴画像法)で、脳の萎縮(いしゅく)と第3脳室が拡張していることなどで診断ができます。
 治療は精神科あるいはリハビリ科で根気よくおこなうことが大切です。すこしずつ改善をしてきますので、けっしてあきらめないことが肝心です。

(執筆・監修:一口坂クリニック 作田 学)