胃カメラで胃がんの検査を行う際、改造カテーテルを使って十二指腸に流れ込む膵臓(すいぞう)の細胞かDNAを採取し、膵がんであるか遺伝子検査する方法を開発したと、大阪大大学院医学系研究科の谷内田真一教授らが26日発表した。患者らを対象に特定臨床研究を行った結果、有効性を確認しており、実用化できれば早期発見が期待される。
 胃に接続する十二指腸には、膵臓から膵液が、肝臓から胆汁がそれぞれ流れ込む「乳頭部」がある。膵がん細胞のほとんどは「KRAS(ケーラス)」遺伝子が変異していることが分かっており、膵液に含まれる膵臓の細胞かDNAを乳頭部で採取できれば、遺伝子が変異しているか検査できる。
 谷内田教授らは胃カメラ用のカテーテルを改造。十二指腸に挿入し、生理食塩水を乳頭部に噴射した後、膵液を含む液体を直ちに回収する方法を編み出した。
 ただ、検査前には膵液の分泌を促すホルモンの「セクレチン」を静脈に注射する必要がある。臨床研究では米国で医薬品として承認されているヒトの合成セクレチンを使ったが、日本では未承認で、販売されていない。
 谷内田教授は「米国からの輸入か、日本企業による製造・販売が必要」と指摘。実現すれば、「(家族に膵がん患者がいるなど)ハイリスクな人は胃がん検診にこの膵がん検査を追加し、早期発見・治療できるようになる」と話している。 (C)時事通信社