結節性多発動脈炎〔けっせつせいたはつどうみゃくえん〕 家庭の医学

 結節性多発動脈炎は、中くらいから細小動脈に炎症が生じる病気です。おかされやすい臓器の動脈は腎臓、脳、心臓、腸管、皮膚などです。原因はまだわかっていませんが、ウイルス感染や薬剤などによって起こることがあります。
 この病気は、男女差はあまりなく(ほぼ1対1)、中年から高齢者にかけてよくみられます。なお、細い血管に炎症がみられる病気は、顕微鏡的多発血管炎と呼ばれ、結節性多発動脈炎と区別されます。

[症状]
 発熱、体重減少、関節痛などの全身症状で発病します。

 網の目状の発疹(ほっしん)や皮下結節(しこり)、皮膚潰瘍などもみられます。臓器病変では、腎不全、腎性高血圧、狭心症心筋梗塞、意識消失、脳出血脳梗塞、腸管の壊死(えし)による急性腹症(突然の激しい腹痛)など重篤(じゅうとく)な病態がみられることもあります。末梢神経の障害もみられ、手・足のしびれや運動障害をきたします。

[検査所見]
 赤沈亢進(こうしん)、CRP(C-reactive protein)強陽性、白血球増加などがみられます。HB肝炎ウイルス抗原ないし抗体が陽性を示すことがあります。抗好中球細胞質抗体(ANCA)は陰性例が多いです。

[診断]
 臨床症状と血管造影、血管の生検による病理学的検査によります。診断には次の基準(厚生労働省、2006年)が用いられます。
 1.38℃以上の原因不明の発熱が2週間以上続く、または、6カ月の間に6kg以上体重が減少すること
 2.高血圧がある
 3.急速に進行する腎機能障害、または腎梗塞
 4.脳出血や脳梗塞がみられること
 5.心筋梗塞、虚血性心疾患、心臓の炎症などの心臓の障害がみられること
 6.胸膜に炎症がみられ水がたまる
 7.腸管から出血したり梗塞を起こす
 8.手や足のしびれ、知覚異常、運動障害がみられること
 9.皮膚にしこりや発疹や紫斑(しはん)、潰瘍、壊疽(えそ)などがみられること
 10.多くの関節が痛んだりはれたり、筋肉の力が落ちたり、筋肉の痛みがあること
 11.病変のあるところの組織を顕微鏡で調べると、典型的な血管の炎症がみられること
 12.血管のX線写真で動脈にこぶがみられる
 11.の所見があって1.から10.までの項目のうち2つ以上あれば、結節性多発動脈炎と診断されます。

[治療]
 病態によりパルス療法を含むグルココルチコイドと免疫抑制薬で治療します。免疫抑制薬はシクロホスファミドが用いられることが多いのですが、連日経口で用いられる場合と間をあけて大量に静脈注射で投与する場合があります。
 これらの治療と併行して、高血圧の治療も重要です。腎不全では血液透析がおこなわれます。

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