免疫反応とそのしくみ

 免疫をおもに担当するのは、白血球に含まれるリンパ球と組織中の樹状細胞といわれる細胞です。樹状細胞は抗原提示細胞ともいわれ、体内に入り込んだ抗原分子(免疫反応を起こす原因物質)を取り込み、分解して、細胞表面に差し出し、免疫の主役であるリンパ球が見分けやすいようにします。樹状細胞は抗原を差し出すだけでなく、抗原の種類や抗原が入ってきたときの状況に応じて、リンパ球の反応のしかたを調節する役割ももっています。
 リンパ球にはTリンパ球(胸腺〈きょうせん〉でつくられます)、Bリンパ球(骨髄〈こつずい〉でつくられます)があります。Tリンパ球、Bリンパ球の表面には、特定の抗原と結合する受容体(レセプター)があります。Tリンパ球は、胎生期までにいろいろな抗原と反応する無数の細胞株(クローン)がつくられますが、自己の抗原と反応するクローンは死滅し、残っているのは体外からからだに入り込んできた非自己の抗原と反応するクローンだけです。このために自己の抗原とは反応しません。しかし、このしくみが異常となり、自己と反応する細胞や抗体ができると、自己の組織が障害されます。これが自己免疫疾患です。

■細胞性免疫
 樹状細胞の表面に差し出された抗原と反応したTリンパ球クローンは、分裂増殖を開始すると同時に、さまざまな役割をもったTリンパ球に変化(分化)します。このうち、細胞傷害性Tリンパ球は、抗原をもっている細胞(ウイルスに感染した細胞、がん細胞、薬が結合した細胞など)を直接傷害します。遅延型過敏反応性Tリンパ球はリンフォカインという活性物質を遊離して、ほかの白血球を動員、活性化してその力で抗原をもつ細胞を傷害・排除します。Tリンパ球によるこれらの反応を細胞性免疫といいます。

■液性免疫
 Tリンパ球は、また、抗原と結合する特定のBリンパ球クローンを増殖させて抗体産生細胞に分化させ、抗体を産生させます。抗体はグロブリンというたんぱく質で、特定の抗原と反応する構造をしています。免疫に関係することから、免疫グロブリンといわれます。免疫グロブリンはIgG、IgM、IgA、IgE、IgDなどの種類があり、血液などの体液中に存在しています。抗体(免疫グロブリン)が抗原と反応すると(抗原抗体反応)、ほかの補助たんぱく(補体という)を活性化して、抗原をもつウイルスなどを傷害したり、マクロファージ(大食細胞)を刺激し、抗原を取り込み分解させます。体液中の抗体によるこのような反応が液性免疫です。

■免疫反応の調節
 Tリンパ球の一部には、樹状細胞の反応や細胞性免疫、液性免疫の強さや反応のしかたを調節してバランスを保とうとする作用もあります。このようなTリンパ球は制御性T細胞といわれます。免疫反応は必要なときに必要な強さの反応が起こり、いきすぎた反応が起こらないように調節されています。
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