感染 家庭の医学

 外傷で傷があるかないかは重要な問題です。大きな傷でも小さな傷でもからだの外に開いていること(開放性)は、外傷での細菌や皮膚にある細菌、そして、空気中の細菌によって感染を起こす可能性があるということです。いったん感染を起こすと、痛みやはれがひどくなり、治るまでの期間は長くなり、治ったとしても傷がきれいになりません。
 傷がない、つまり打撲傷などでからだの外に開いていない(非開放性または閉鎖性といいます)場合では、細菌感染の危険性は小さいです。しかし、内出血の場所に細菌感染することがあり、切開してうみと血腫を出すこともあります。
 また、細菌感染の原因の一つに異物混入があります。泥などで汚れた傷や、砂などの異物が入っている傷は感染しやすいので、水道水などの流水で十分に洗い流し、その後消毒をします(傷の治療)。ごみなどをとらないで消毒することはまったく意味がありません。
 人体には細菌に対しての抵抗力があり、ある程度の細菌は死滅させることができます。抵抗力が低下している高齢者や糖尿病の人、副腎皮質ステロイド薬を服用している人、血流のわるい人などは感染を起こしやすいです。また、縫合(ほうごう)する傷でも、傷の下にすきまがあると感染の原因となります。そのために傷の中も縫う2層縫合をおこなうことがあります。

(執筆・監修:八戸市立市民病院 事業管理者 今 明秀)