傷の治りかた
傷に感染が起こらず異物もなければ、期間が長くなっても傷に肉芽(にくげ)組織が充満し、その上に皮膚が出てきて傷は自然に治ります。次に傷の治りかたを示します。
・一次治癒――鋭い刃物や手術などで切った傷は縫合(ほうごう)すると、化膿(かのう)しないかぎり細い1本の線の傷が残りますが、治癒までの期間が短く美しく治ります。線となって傷が治るのが理想的で、これを「一次治癒」(一次癒合〈ゆごう〉)といいます。
・二次治癒――時間がすぎたり、傷が感染していたり、木や砂などの異物が入っていると縫合できませんので、感染を抑えながら自然に治るのをまちます。しかし、このようにして治った傷は幅広くなり、すこしへこんでいて、まわりの皮膚と色が違って目立ち醜くなり、治る期間も縫合したときにくらべて長くなります。このような、縫合しないで治すことを「二次治癒」(二次癒合)といいます。
・三次治癒――二次治癒の途中で感染していないことや異物がないことがわかった時点で、傷のまわりを切り縫合することがあります。これを三次縫合ということがあります。傷が閉鎖されたあとに醜い傷が残った場合、きれいにするために形成外科医が手術することも三次縫合で、その結果治ることを「三次治癒」(三次癒合)といいます。
肉芽が傷の底から盛り上がってくる前に、皮膚の上、表面で皮膚がつながり傷が閉鎖することがあります。この場合は、皮膚の下にすきま(死腔〈しくう〉といいます)ができ、うみがたまる原因となります。表面が治ったからといって安心してはいけません。
■縫合すること
傷を縫合するかどうかは医師が判断し、縫合した場合としない場合の経過や結果を示し、患者またはその家族、付き添いに治療法を選択してもらいます。必ずこのようにして医療行為に対しての承諾を得ること(インフォームド・コンセント)を原則としています。縫合することの利点は、以下のようなことです。
1.感染の危険性が少なくなる――傷を閉鎖するので外からの細菌が入りにくくなります。最近は手術後数日で縫合した糸をつけたまま、シャワーを浴びることを許可している病院もあります。
2.治ったあとの傷がきれいになる――一次治癒で治った傷は1本線となります。
3.治療期間が短くなる――肉芽でうめる部分が少なくなり、治癒が早くなります。
4.治療中の傷の管理が容易になる――開放性創では痛みが続き、ほぼ毎日の消毒が必要ですが、縫合することで消毒回数が少なくなります。
このような理由で、医師は可能なかぎり縫合するようにしています。
■縫合しないこと
傷があっても感染する可能性がある場合は縫合しないこともあります。縫合すると、皮下や傷の奥に膿瘍(のうよう)ができる場合、すぐにわからないからです。また、縫合しなければ、もし膿瘍が出ても外に流れ出るからです。一般的には、以下のような傷は縫合しません。
1.傷ついてから6~8時間以上たった傷――傷が開いていることはすでに感染していると考えられます。特に6~8時間(ゴールデンタイムといいます)すぎた傷は感染していると考え、一般には縫合しません。
2.動物にかまれた傷(咬傷〈こうしょう〉)――動物の口の中は細菌が多く存在しますし、また、かまれた傷は深く中まで傷ついていると考えられ、感染があとで起こる可能性があり、縫合しないでむしろ切開します。
3.感染している傷、感染しそうな傷、異物が入っている傷――十分に洗浄しても感染が起こりそうな傷や異物を取り除いても、小さな砂や石が残っているときは縫合しません。
4.その他、貫通した傷――銃弾などの通った傷の中で感染する可能性があるからです。
以上の傷では多くは縫合しませんが、十分に洗浄して感染しないと判断したら、大きな傷のときには洗浄して、2~3日は間隔をあけて仮縫合することもあります。その後、3次治癒をおこなうことになります。
■抜糸
抜糸は通常、7~10日後です。顔では3~5日後と早く、高齢者や、関節など動きのあるところや糸に緊張がかかっていると14日後ころと、おそくおこないます。
・一次治癒――鋭い刃物や手術などで切った傷は縫合(ほうごう)すると、化膿(かのう)しないかぎり細い1本の線の傷が残りますが、治癒までの期間が短く美しく治ります。線となって傷が治るのが理想的で、これを「一次治癒」(一次癒合〈ゆごう〉)といいます。
・二次治癒――時間がすぎたり、傷が感染していたり、木や砂などの異物が入っていると縫合できませんので、感染を抑えながら自然に治るのをまちます。しかし、このようにして治った傷は幅広くなり、すこしへこんでいて、まわりの皮膚と色が違って目立ち醜くなり、治る期間も縫合したときにくらべて長くなります。このような、縫合しないで治すことを「二次治癒」(二次癒合)といいます。
・三次治癒――二次治癒の途中で感染していないことや異物がないことがわかった時点で、傷のまわりを切り縫合することがあります。これを三次縫合ということがあります。傷が閉鎖されたあとに醜い傷が残った場合、きれいにするために形成外科医が手術することも三次縫合で、その結果治ることを「三次治癒」(三次癒合)といいます。
肉芽が傷の底から盛り上がってくる前に、皮膚の上、表面で皮膚がつながり傷が閉鎖することがあります。この場合は、皮膚の下にすきま(死腔〈しくう〉といいます)ができ、うみがたまる原因となります。表面が治ったからといって安心してはいけません。
■縫合すること
傷を縫合するかどうかは医師が判断し、縫合した場合としない場合の経過や結果を示し、患者またはその家族、付き添いに治療法を選択してもらいます。必ずこのようにして医療行為に対しての承諾を得ること(インフォームド・コンセント)を原則としています。縫合することの利点は、以下のようなことです。
1.感染の危険性が少なくなる――傷を閉鎖するので外からの細菌が入りにくくなります。最近は手術後数日で縫合した糸をつけたまま、シャワーを浴びることを許可している病院もあります。
2.治ったあとの傷がきれいになる――一次治癒で治った傷は1本線となります。
3.治療期間が短くなる――肉芽でうめる部分が少なくなり、治癒が早くなります。
4.治療中の傷の管理が容易になる――開放性創では痛みが続き、ほぼ毎日の消毒が必要ですが、縫合することで消毒回数が少なくなります。
このような理由で、医師は可能なかぎり縫合するようにしています。
■縫合しないこと
傷があっても感染する可能性がある場合は縫合しないこともあります。縫合すると、皮下や傷の奥に膿瘍(のうよう)ができる場合、すぐにわからないからです。また、縫合しなければ、もし膿瘍が出ても外に流れ出るからです。一般的には、以下のような傷は縫合しません。
1.傷ついてから6~8時間以上たった傷――傷が開いていることはすでに感染していると考えられます。特に6~8時間(ゴールデンタイムといいます)すぎた傷は感染していると考え、一般には縫合しません。
2.動物にかまれた傷(咬傷〈こうしょう〉)――動物の口の中は細菌が多く存在しますし、また、かまれた傷は深く中まで傷ついていると考えられ、感染があとで起こる可能性があり、縫合しないでむしろ切開します。
3.感染している傷、感染しそうな傷、異物が入っている傷――十分に洗浄しても感染が起こりそうな傷や異物を取り除いても、小さな砂や石が残っているときは縫合しません。
4.その他、貫通した傷――銃弾などの通った傷の中で感染する可能性があるからです。
以上の傷では多くは縫合しませんが、十分に洗浄して感染しないと判断したら、大きな傷のときには洗浄して、2~3日は間隔をあけて仮縫合することもあります。その後、3次治癒をおこなうことになります。
■抜糸
抜糸は通常、7~10日後です。顔では3~5日後と早く、高齢者や、関節など動きのあるところや糸に緊張がかかっていると14日後ころと、おそくおこないます。
(執筆・監修:八戸市立市民病院 事業管理者 今 明秀)