傷あと(瘢痕)とケロイド 家庭の医学

 傷の治ったあとには瘢痕(はんこん)が残ります。ケロイドは瘢痕組織が多くできすぎて、皮膚の上に盛り上がった状態です。瘢痕やケロイドが大きいと、美容上いやなものです。顔や手足で見えるところでは、小さくてもいやだと感じる人が多いようです。
 また、場所が関節の近くにあるときには動きがわるくなります。たとえば、やけどのあとの瘢痕でひきつられ、くびの動きがわるくなったり、手の指が伸びなくなったりします。
 このような場合は、形成外科医に相談してみます。美容形成外科と違って、健康保険を使った診療ができます。瘢痕やケロイドの部分を切りとり、からだの健康な他の部分から皮膚をとり、縫合し移植する植皮という手術をおこない、ひきつれをとったり、皮膚の見ばえをよくします。関節の動きがわるいときは、その後リハビリをおこなって動きをよくすることもあります。
 子どもは瘢痕やケロイドのひきつれにより、成長とともに骨が曲がってしまうことがあります。子どもは早い時期に手術を受けたほうが骨の変形が少なくてすみ、また精神衛生上もよいと思います。
 現在の医学でどこまでできるか、どれくらいきれいになるか、その他いろいろなことを形成外科医または整形外科医と相談して手術をするかどうかを判断することが大切です。しかし、あなたの要求どおりのことが、すべてできるわけではありません。

【参照】形成外科:瘢痕・ケロイドの治療法

(執筆・監修:八戸市立市民病院 事業管理者 今 明秀)