健康日本21と健康増進法 家庭の医学

 生活習慣病などの増加を受け、厚生労働省は2000年から「21世紀における国民健康づくり運動」(健康日本21)を推進しています。
 この運動では、病気の早期発見、早期治療のみならず、健康を増進し、生活習慣病などの発病を予防することを重視しています。そこで栄養・食生活、身体活動・運動、休養・心の健康づくり、たばこ、アルコールなどの9分野にわたり70項目の生活習慣について10年後の目標値を掲げました。
 2003年5月には、「健康日本21」の法的裏づけとなる健康増進法が施行され、このなかで注目されたのが第25条「受動喫煙の防止」です。多くの人が集まる施設の管理者に受動喫煙被害の責任を負わせ、受動喫煙の防止に必要な措置を講ずるよう努力義務を課しています。この法律を受けて全国に禁煙の動きがひろがっていますが、たばこの害に対する意識は国民の間にまだ深まっていないという指摘もあり、真の意識改革が今後の課題といえます。
 さらに2013年には「健康日本21(第2次)」が提案されました。健康日本21(第2次)の基本的な方向として、①健康寿命の延伸と健康格差の縮小、②主要な生活習慣病の発症予防と重症化予防、③社会生活を営むために必要な機能の維持および向上、④健康を支え、守るための社会環境の整備、⑤栄養・食生活、身体活動・運動、休養、飲酒、喫煙および歯・口腔の健康に関する生活習慣および社会環境の改善、の5つが提案されています。


《参考URL》
厚生労働省健康日本21(第2次)の推進に関する参考資料
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/dl/kenkounippon21_02.pdf

(執筆・監修:自治医科大学名誉教授/社会医療法人さいたま市民医療センター院長 百村 伸一