食事摂取基準の活用のしかた
■基本的な姿勢
食事摂取基準は、健康な個人または集団を対象としたものです。使用にあたっては、その個人の健康・栄養状態、生活状況を十分に考慮する必要があります。また、病人の場合は、参考程度にし、病気のときの適正な栄養量は、主治医に相談するのが基本です。
1.推奨量、目安量、目標量については、日常の食生活において、通常の食品によってバランスのとれた食事をとることで、満たすことを基本にしています。
2.標準的な体格でも、アスリートのように、からだの使いかたが特別な人は、対象とはなりません。
3.耐用上限量は、過剰摂取によって生じる潜在的な健康障害のリスクが高まると考える量です。通常の食事以外に、いわゆる健康食品やサプリメントなどの摂取に、注意をうながすものです。かたよりのない通常の食事を摂取しているかぎり、耐用上限量を超えることはありません。
4.高齢者は、咀嚼(そしゃく)能力の低下、消化・吸収率の低下、運動量の低下などがみられ、これらは個人差が大きいものです。また、高齢者に用いる場合には、特に個人差を考慮し、フレイル(加齢によって筋力や活力が低下した状態)の回避に重点を置くようにします。
■個人が栄養計画に使う場合
1.推奨量が算定されている栄養素については、推奨量を摂取するようにします。習慣的な摂取量が、推奨量付近であれば、現在の摂取量を維持させ、それ未満であれば推奨量に近づけるようにします。この習慣的なということも重要です。1皿、1食、1日を問題にはしていないということです。
では、どのくらいの期間かと聞かれますと、現時点では、科学的な根拠に基づく明快な回答はありませんが、基準値の設定にあたっては、健康な人の場合には、1カ月くらいを想定しています。
2.推奨量が示されていない場合は、習慣的な摂取量を目安量あるいは目標量に近づくようにします。同じ栄養素でも両方の数値が示されているものもありますが、使用目的によって使い分けるとよいでしょう。なお、目標量の多くは生活習慣病の予防や治療のための食事療法の考えかたとおおむね一致しています。
3.サプリメントや健康食品を使う場合には、耐容上限量を超えないようにします。この場合、食事からの摂取も含めての量になります。特に、数種類のサプリメントや健康食品を利用する場合には注意が必要です。このとき、医師から処方されている薬剤にビタミンやミネラルが含まれている場合があるので、見落とさないようにします。薬を服用されているかたは、サプリメントの使用にあたっては、主治医・薬剤師さんに相談されてから使うようにしましょう。なお、サプリメントや健康食品は病気を治すものではありません。その安全性をよく考えて使用することが大切です。
4.計画にもとづいた食生活は、その結果を「体重の推移」「健康状態」について評価し、必要に応じ見直すようにします。
■基準となる参照体位
適正な栄養摂取量は、年齢や性別で異なることは当然ですが、からだの大きさによっても違ってくるので、基準となる参照体位を定めています。
この数値は、0~17歳は、日本小児内分泌学会・日本成長学会合同標準値委員会による小児の体格評価に用いる身長、体重の標準値を基に、年齢区分に応じて、当該月齢および年齢区分の中央時点における中央値を引用しています。ただし、公表数値が年齢区分と合致しない場合は、同様の方法で算出した値を用いています。18歳以上は、平成28年国民健康・栄養調査における妊婦・授乳婦を除いた当該の性および年齢区分における身長・体重の中央値を用いています。
成人の場合、自分の適正な栄養摂取量を求める場合には、自分の体格を比較して増減すればよいことになります。ただし、エネルギー量は、適正な体重を維持する観点で定めているため、身長だけを考慮すればよいことになります。しかしながら、基準となる参照身長に対する参照体重が、現在の体重が基準となる体重と大きく違っている場合には、いきなり基準量を摂取するのは、好ましいことではありません。
食事摂取基準は、健康な個人または集団を対象としたものです。使用にあたっては、その個人の健康・栄養状態、生活状況を十分に考慮する必要があります。また、病人の場合は、参考程度にし、病気のときの適正な栄養量は、主治医に相談するのが基本です。
1.推奨量、目安量、目標量については、日常の食生活において、通常の食品によってバランスのとれた食事をとることで、満たすことを基本にしています。
2.標準的な体格でも、アスリートのように、からだの使いかたが特別な人は、対象とはなりません。
3.耐用上限量は、過剰摂取によって生じる潜在的な健康障害のリスクが高まると考える量です。通常の食事以外に、いわゆる健康食品やサプリメントなどの摂取に、注意をうながすものです。かたよりのない通常の食事を摂取しているかぎり、耐用上限量を超えることはありません。
4.高齢者は、咀嚼(そしゃく)能力の低下、消化・吸収率の低下、運動量の低下などがみられ、これらは個人差が大きいものです。また、高齢者に用いる場合には、特に個人差を考慮し、フレイル(加齢によって筋力や活力が低下した状態)の回避に重点を置くようにします。
■個人が栄養計画に使う場合
1.推奨量が算定されている栄養素については、推奨量を摂取するようにします。習慣的な摂取量が、推奨量付近であれば、現在の摂取量を維持させ、それ未満であれば推奨量に近づけるようにします。この習慣的なということも重要です。1皿、1食、1日を問題にはしていないということです。
では、どのくらいの期間かと聞かれますと、現時点では、科学的な根拠に基づく明快な回答はありませんが、基準値の設定にあたっては、健康な人の場合には、1カ月くらいを想定しています。
2.推奨量が示されていない場合は、習慣的な摂取量を目安量あるいは目標量に近づくようにします。同じ栄養素でも両方の数値が示されているものもありますが、使用目的によって使い分けるとよいでしょう。なお、目標量の多くは生活習慣病の予防や治療のための食事療法の考えかたとおおむね一致しています。
3.サプリメントや健康食品を使う場合には、耐容上限量を超えないようにします。この場合、食事からの摂取も含めての量になります。特に、数種類のサプリメントや健康食品を利用する場合には注意が必要です。このとき、医師から処方されている薬剤にビタミンやミネラルが含まれている場合があるので、見落とさないようにします。薬を服用されているかたは、サプリメントの使用にあたっては、主治医・薬剤師さんに相談されてから使うようにしましょう。なお、サプリメントや健康食品は病気を治すものではありません。その安全性をよく考えて使用することが大切です。
4.計画にもとづいた食生活は、その結果を「体重の推移」「健康状態」について評価し、必要に応じ見直すようにします。
■基準となる参照体位
適正な栄養摂取量は、年齢や性別で異なることは当然ですが、からだの大きさによっても違ってくるので、基準となる参照体位を定めています。
この数値は、0~17歳は、日本小児内分泌学会・日本成長学会合同標準値委員会による小児の体格評価に用いる身長、体重の標準値を基に、年齢区分に応じて、当該月齢および年齢区分の中央時点における中央値を引用しています。ただし、公表数値が年齢区分と合致しない場合は、同様の方法で算出した値を用いています。18歳以上は、平成28年国民健康・栄養調査における妊婦・授乳婦を除いた当該の性および年齢区分における身長・体重の中央値を用いています。
成人の場合、自分の適正な栄養摂取量を求める場合には、自分の体格を比較して増減すればよいことになります。ただし、エネルギー量は、適正な体重を維持する観点で定めているため、身長だけを考慮すればよいことになります。しかしながら、基準となる参照身長に対する参照体重が、現在の体重が基準となる体重と大きく違っている場合には、いきなり基準量を摂取するのは、好ましいことではありません。
性別 | 男性 | 女性 | ||
---|---|---|---|---|
年齢等 | 参照身長(cm) | 参照体重(kg) | 参照身長(cm) | 参照体重(kg) |
0~5カ月 6~11カ月 6~8カ月 9~11カ月 1~2歳 3~5歳 6~7歳 8~9歳 10~11歳 12~14歳 15~17歳 18~29歳 30~49歳 50~64歳 65~74歳 75歳以上 | 61.5 71.6 69.8 73.2 85.8 103.6 119.5 130.4 142.0 160.5 170.1 171.0 171.0 169.0 165.2 160.8 | 6.3 8.8 8.4 9.1 11.5 16.5 22.2 28.0 35.6 49.0 59.7 64.5 68.1 68.0 65.0 59.6 | 60.1 70.2 68.3 71.9 84.6 103.2 118.3 130.4 144.0 155.1 157.7 158.0 158.0 155.8 152.0 148.0 | 5.9 8.1 7.8 8.4 11.0 16.1 21.9 27.4 36.3 47.5 51.9 50.3 53.0 53.8 52.1 48.8 |
(執筆・監修:聖徳大学 人間栄養学部人間栄養学科 兼任講師 宮本 佳代子)