IgA腎症〔あいじーえーじんしょう〕

 小児でも成人でももっとも頻度の高い慢性糸球体腎炎で、その多くが学校検尿で無症候性血尿無症候性たんぱく尿として発見されています。

[原因]
 なんらかの機序により腎臓の糸球体(腎臓に入った動脈が枝分かれし、最終的に細い血管が糸球をつくり、尿排泄〈はいせつ〉物がこし出される部分)を支持するメサンギウム細胞に、IgAという免疫グロブリン(体内の異物である抗原と反応するたんぱく)が沈着する病気です。

[症状]
 70~80%は無症候性血尿、たんぱく尿を学校検尿などで発見されています。肉眼的血尿をかぜなどに伴って起こします。

[診断]
 血尿をみとめます。約15%の患者に血液検査でIgAの上昇があります。腎生検でとった組織を顕微鏡で見ると、メサンギウムの増殖とそこにIgAの沈着があり、診断が確定します。

[治療]
 軽症例ではアンギオテンシン変換酵素阻害薬あるいは漢方薬の内服、重症例では副腎皮質ステロイド薬、免疫抑制薬、血液を固まりにくくするワーファリンなどいろいろな薬を組み合わせた治療(多剤併用療法)をおこないます。
 最近は、多剤併用療法と同等の治療効果がある扁桃摘出+ステロイドパルス療法(大量のステロイド薬を3日間点滴する治療法)もおこなわれています。
 なお、IgA腎症は国が指定する難病医療費助成制度の対象疾病(指定難病)です。

【参照】腎臓・尿路・男性性器の病気:IgA腎症

(執筆・監修:自治医科大学 名誉教授/茨城福祉医療センター 小児科 部長 市橋 光
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