溶血性尿毒症症候群〔ようけつせいにょうどくしょうしょうこうぐん〕 家庭の医学

[原因]
 小児の溶血性尿毒症症候群の約90%が志賀毒素産生性大腸菌感染に合併して発症し、残り10%の約半数が補体調節因子異常症(病原体を排除する際に補助的役割をする補体の活性化を抑制する因子の異常により、過剰な免疫反応が起こってしまう病気)によるもので、そのほかに、上記の大腸菌感染以外の感染、薬物や膠原(こうげん)病と関係のあることがあります。
 腎臓の血管の内側の細胞が障害され、血管内の血液が固まったり、血管内腔(ないくう)が狭くなったりします。そのため、血液を固めるのに重要な血小板が消費されて少なくなったり、赤血球が狭い部分を通過するときにこわされたり(溶血性貧血)、腎臓機能が低下したりします。

[症状]
 数日のかぜ症状や下痢のあと、突然顔面蒼白(そうはく)、意識低下、点状出血、尿が少なくむくみが出るなどの症状を呈します。

[検査][治療]
 血液検査で溶血性貧血、血小板減少、腎機能低下をみとめます。
 輸血をしたり、腎不全が重篤な場合は透析をします。補体調節因子異常に伴う場合は、抗ヒトC5モノクロナール抗体であるエクリズマブ治療が効果をあげています。

(執筆・監修:自治医科大学 名誉教授/茨城福祉医療センター 小児科 部長 市橋 光
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