遺伝性腎炎(アルポート症候群)〔いでんせいじんえん(あるぽーとしょうこうぐん)〕 家庭の医学

[原因]
 腎臓の糸球体基底膜の主要成分のⅣ型コラーゲンの遺伝子異常であることがあきらかになりました。遺伝形式はX染色体顕性(優性)が多く、そのほかのタイプもあります。

[症状]
 10歳までに血尿あるいは血尿とたんぱく尿で気づかれます。たんぱく尿は徐々に増加します。
 腎臓以外の症状として、約40%に難聴がみられます。10歳以降に高周波数域の聴力が低下しますが、補聴器は必ずしも必要としません。約15%の男性患者に白内障網膜色素変性などの眼症状がみられます。

[診断]
 家族に腎臓の病気の患者がいること、腎生検で特徴的な所見がみられることにより、診断します。

[治療]
 特別な治療法はありません。最終的な治療の選択として透析腎移植があります。
 なお、アルポート症候群は国が指定する難病医療費助成制度の対象疾病(指定難病)です。

(執筆・監修:自治医科大学 名誉教授/茨城福祉医療センター 小児科 部長 市橋 光
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