梅毒〔ばいどく〕
梅毒は、梅毒トレポネーマという菌の感染症で、おもに性行為によって粘膜や皮膚の小さな傷から感染します。皮膚や粘膜から血液に侵入し、血流によって全身に散布されて全身症状につながります。感染から1カ月以内の梅毒は、性行為感染や母子感染により、パートナーや胎児への感染が起こります。早期には、皮膚の発疹、生殖器の硬結(できもの)や潰瘍が出現し、気づかれます。男性では、やや同性間性交渉による感染が多く、女性はほとんどが異性間性交渉です。
梅毒の診断は、梅毒抗体検査で簡便かつ確実に診断できます。ただし、感染から1カ月以内の梅毒では、まだ抗体が陽性になる前のことがありますので、再検査をおこないます。また、梅毒と診断された人と90日以内に性交渉があったパートナーは、梅毒検査をおこなう必要があります。
1.第1期梅毒
感染後1カ月以内で、硬結・硬性下疳(こうせいげかん:腫脹と潰瘍)・鼠径(そけい)リンパ節腫脹が出現しますが、2~3週間で自然に消失します。
2.第2期梅毒
感染後1~3カ月で、全身に散布された梅毒トレポネーマによって全身性の発疹(バラ疹、梅毒疹)や乾癬、外陰部のいぼ(扁平コンジローマ)、アンギナ(軟口蓋のびらん・潰瘍・発赤)、脱毛など多彩な症状があらわれます。
3.第3期梅毒
ゴム腫という腫瘍や、進行まひといった精神症状が出現しますが、わが国ではほぼみられません。
梅毒の治療は、経口ペニシリン系抗菌薬(アモキシシリン水和物)が第一選択となります。薬剤耐性はないので、適切な量を適切な期間(通常、4週間)内服することで完治します。ペニシリンにアレルギーがある場合は、ミノサイクリンやスピラマイシンを内服します。最近は、ベンジルペニシリンベンザチン水和物の筋肉注射も保険適用となり使用することができます。
近年、女性の梅毒患者が増加し、妊娠中に梅毒に感染する妊婦がふえています。妊娠中のどの時期に感染しても母体から胎児への垂直感染(母子感染)を起こす率は、無治療では40%、経口ペニシリン製剤を服用しても約15%となります。胎児に梅毒が感染すると、先天梅毒といい、死産や後遺症が児に残ることがあります。初期の妊婦健診で梅毒検査をおこなっていますが、妊婦健診を受診していない場合や受診しても適切な治療を受けなかった場合には先天梅毒のリスクとなります。妊娠する前に梅毒の治療を適切におこなっておくことが大切です。
【参照】性感染症:梅毒(硬性下疳)
梅毒の診断は、梅毒抗体検査で簡便かつ確実に診断できます。ただし、感染から1カ月以内の梅毒では、まだ抗体が陽性になる前のことがありますので、再検査をおこないます。また、梅毒と診断された人と90日以内に性交渉があったパートナーは、梅毒検査をおこなう必要があります。
1.第1期梅毒
感染後1カ月以内で、硬結・硬性下疳(こうせいげかん:腫脹と潰瘍)・鼠径(そけい)リンパ節腫脹が出現しますが、2~3週間で自然に消失します。
2.第2期梅毒
感染後1~3カ月で、全身に散布された梅毒トレポネーマによって全身性の発疹(バラ疹、梅毒疹)や乾癬、外陰部のいぼ(扁平コンジローマ)、アンギナ(軟口蓋のびらん・潰瘍・発赤)、脱毛など多彩な症状があらわれます。
3.第3期梅毒
ゴム腫という腫瘍や、進行まひといった精神症状が出現しますが、わが国ではほぼみられません。
梅毒の治療は、経口ペニシリン系抗菌薬(アモキシシリン水和物)が第一選択となります。薬剤耐性はないので、適切な量を適切な期間(通常、4週間)内服することで完治します。ペニシリンにアレルギーがある場合は、ミノサイクリンやスピラマイシンを内服します。最近は、ベンジルペニシリンベンザチン水和物の筋肉注射も保険適用となり使用することができます。
近年、女性の梅毒患者が増加し、妊娠中に梅毒に感染する妊婦がふえています。妊娠中のどの時期に感染しても母体から胎児への垂直感染(母子感染)を起こす率は、無治療では40%、経口ペニシリン製剤を服用しても約15%となります。胎児に梅毒が感染すると、先天梅毒といい、死産や後遺症が児に残ることがあります。初期の妊婦健診で梅毒検査をおこなっていますが、妊婦健診を受診していない場合や受診しても適切な治療を受けなかった場合には先天梅毒のリスクとなります。妊娠する前に梅毒の治療を適切におこなっておくことが大切です。
【参照】性感染症:梅毒(硬性下疳)
(執筆・監修:日本大学医学部産婦人科学教室 主任教授 川名 敬)
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