外陰がん〔がいいんがん〕

 外陰部に発生する悪性腫瘍で、その多くは大陰唇に発生しますが、小陰唇や陰核などに発生することもあります。一般に外陰がんの場合、組織型は大部分が扁平上皮(へんぺいじょうひ)がんですが、腺がんのこともあります。子宮頸がんと同様に、ヒトパピローマウイルス(HPV)が原因であることもあります。また硬化性苔癬(こうかせいたいせん)といった慢性化した炎症が関与していることもあります。頻度としては、まれな疾患(腟がんと合わせて1年間に100万人あたり約5~10人)です。

[症状]
 早期では自覚症状に乏しいことがあります。進行するにつれて、外陰部の腫瘤(しゅりゅう)感、かゆみ、痛み、出血、潰瘍形成などがあります。

[診断]
 病変部位を生検(組織を採取する検査)して診断をします。外陰には悪性黒色腫パジェット病といった皮膚科領域の悪性腫瘍も発生することがあります。このようなケースでは皮膚科専門医と連携をとって診断をおこなう必要があります。
外陰がんと診断された場合、がんがどの程度転移しているかの検査(CT、MRIなど)がおこなわれます。それらの結果をもとに、がんのひろがりの程度に応じて治療方針を決定していきます。このがんのひろがりの程度を病期といい、次のように分類されています。

●外陰がんの病期分類
Ⅰ期がんが外陰部または会陰(えいん)部に限られている。
ⅠA期最大径2cm以下の腫瘍で、間質浸潤の深さが1mm以下
ⅠB期最大径2cmを超えるか、または間質浸潤の深さが1mmを超えるもの
Ⅱ期がんが尿道または腟の下部または肛門にひろがっている。
Ⅲ期がんが鼠径(そけい)リンパ節に転移している。腫瘍の大きさは問わない。
ⅢA期(i)5mm以上のサイズのリンパ節転移が1個あるもの
または
(ii)5mm未満のサイズのリンパ節転移が1~2個あるもの
ⅢB期(i)5mm以上のサイズのリンパ節転移が2個以上あるもの
または
(ii)5mm未満のサイズのリンパ節転移が3個以上あるもの
ⅢC期被膜外浸潤を有するリンパ節転移
Ⅳ期がんがさらにひろがり、膀胱(ぼうこう)、腟の上部、尿道の上部、直腸、より離れたリンパ節、または骨盤外など離れた部位に転移している。
ⅣA期腫瘍が次のいずれかに浸潤するもの
(i)上部尿道および/または腟粘膜、膀胱粘膜、直腸粘膜、骨盤骨浸潤があるもの
(ii)固着(くっついた状態)あるいは潰瘍を伴う鼠径リンパ節
ⅣB期遠隔転移のあるもの


[治療]
 手術療法・放射線療法が有効とされていますが、全身状態や病気の進行期によって手術が可能な場合には、手術が選択されます。手術には、病変が取り除ける、病気のひろがりを正確に把握できるといった利点があります。いっぽう、手術によって欠損する部位を再建する必要がある場合、からだへの負担も大きくなります。年齢やほかの病気のために、手術の負担が大きいと考えられる場合や、あきらかに手術では取りきれないくらい病気がひろがっている場合には、放射線療法を選択することが一般的です。放射線療法に関しては、治療効果を上げるために化学療法(抗がん薬)を併用する場合があります。

(執筆・監修:東京大学医学部附属病院女性診療科・産科 講師 森 繭代)