川名敬 医師 (かわなけい)

日本大学医学部附属板橋病院

東京都板橋区大谷口上町30-1

  • 産婦人科
  • 主任教授、教育診療部長

産婦人科 婦人科 がん

専門

婦人科がん治療学、がん診断学、母子感染症学、性感染症学、思春期学、予防医学(ワクチン)

川名敬

川名敬医師は、HPVワクチンと子宮頸がんのスペシャリスト。婦人科腫瘍学会、性感染症学会、生殖免疫学会、思春期学会、産婦人科感染症学会の理事に就いている。日本婦人科腫瘍学会の婦人科腫瘍専門医、日本臨床細胞学会細胞診専門医の資格を有し、子宮頸がんをはじめとする女性の腫瘍に深く精通している。2016年より日本大学医学部産婦人科学系産婦人科学分野教室の7代目主任教授に就任し、後輩の育成や入院患者・外来での診療を続けるかたわら、医師向け・一般向けに講演活動をするなど、HPVワクチンの正しい知識を広める活動を精力的におこなっている。さらに世界初の粘膜免疫を利用したHPVを標的とした治療用のがん免疫療法を開発し、治験段階となっている。

診療内容

川名医師は、婦人科がん全般について網羅的に治療しているが、特に以下のものを精力的に行っている。
1)子宮頸がんに対する粘膜免疫を利用した新しい癌ワクチンの開発・臨床試験。
2)子宮頸がんに対する広汎子宮頸部摘出術、子宮体がんに対する妊孕性温存ホルモン療法、卵巣がんに対する妊孕性温存手術、子宮体がんに対する腹腔鏡下悪性腫瘍手術に精力的に従事。
3)婦人科がんの系統的根治手術、抗がん剤による化学療法を専門とする。
川名医師は「これまでの研究において、子宮頸がんのほとんどが、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染によるウイルス発がんであることがわかってきています。HPVを標的にした治療法や予防法が臨床応用されると期待される」と語る。このウイルスは日本人女性の約7~8割は感染していると言われ、日本人女性では83人に1人ぐらいが子宮頸がんになる可能性があると言われる。がん検診だけでは、子宮頸がんは予防できても、その前癌病変は予防できない。そこで 外科的治療を行った女性は将来の妊娠時に早産になるリスクが約3倍になる。(川名医師)
そこで、子宮頸がんの原因ウイルスであるHPVの感染予防を目的としたHPVワクチンが世界的に普及している。「日本では、マスメディアの報道の後にHPVワクチンの積極的な勧奨が中止され、すでに4年が過ぎた。その間に安全性について国内外に再確認され、有害事象に対する医療体制も整った。報道された“多様な症状”は、HPVワクチン接種歴のない女児でも発生していることもわかった。海外では、HPVワクチンによって、すでに子宮頸がんの前がん病変が国レベルで減少している。日本の女性だけがHPVワクチンの恩恵を受けられないことが大変な不幸である」(川名医師)
また、川名医師によると、このワクチンを受ければ子宮頸がんにはならないから、検診を受けなくてもいいと勘違いする人がいるが、それは間違いだという。
「このワクチンはHPVの16型と18型の感染を予防しますが、その他の型のHPVの感染は予防しません。日本人の子宮頸がんの7割はHPVの16型と18型によるがんですが、残りの3割は16型、18型以外のHPVによるがんです。つまり、このワクチンを接種しても100%予防ができるわけではありません。ですからワクチン接種後も定期的ながん検診をぜひ受けるようにしてください」と川名医師。
もしHPVによる病変が出現した場合は、HPVを標的にしたがん免疫療法があります。川名医師らのグループでは、このHPV標的免疫療法を開発し、本年度中に日本大学医学部板橋病院を中心に治験を実施予定である。「子宮頸部腫瘍性病変に対する子宮頸部円錐切除術という既存の治療法では、術後の早産率が2.6倍上昇するために妊娠・出産年齢の女性にとっては避けたい手術は避けたいところ。内服薬で治療するHPV標的免疫療法はこのニーズに叶う可能性がある」(川名医師)。
「HPVワクチンが再開されても、接種し損なう女性が子宮頸がんを発症することがある。その時には我々が開発した治療薬が役立つことを期待している。」(川名医師)

医師プロフィール

1993年3月 東北大学医学部 卒業
1993年6月 東京大学医学部産科婦人科学 研修医、同医員
1996年4月 厚生労働省 ヒューマンサイエンス振興財団 研究員
1998年7月 東京大学医学部産科婦人科学 助手
1999年4月 埼玉県立がんセンター 医員
2000年4月 東京大学医学部産科婦人科学 助手
2001年6月 学位(医学博士)取得
2003年9月 米国ハーバード大学(Brigham and Women's Hospital)産婦人科 留学。
2005年9月 東京大学医学部産科婦人科学 助教
2007年4月 WHO(世界保健機構)Global HPV Laboratory Network, 西太平洋地域ラボ代表
2011年10月 東京大学医学部産科婦人科学 講師(病棟医長)
2013年1月 東京大学大学院医学系研究科 生殖発達加齢医学専攻 産婦人科学講座 生殖内分泌学分野 准教授(女性外科副科長)
2016年9月 日本大学医学部 産婦人科学系 産婦人科学分野 主任教授