治療・予防

大切な人を助ける献血
~誰もが必要になる可能性(日本赤十字社血液事業本部)~

 病気の治療や手術で行われる輸血には、献血で集められた血液が使われている。しかし、主に輸血を必要とする高齢者が増加する一方、10~30歳代の献血者がこの10年間で3割減少しているという。日本赤十字社血液事業本部(東京都港区)では、「あなたの献血が巡り巡って自分や大切な人を助けるかもしれません」と献血への協力を呼び掛ける。

献血の種類と用途

献血の種類と用途

 ◇がんなどの治療にも

 献血には血中のすべての成分を採血する「全血献血」と、特定の成分を採血する「成分献血」がある。成分献血は全血献血と異なり、採血した血液から、全身に酸素を運ぶ赤血球を献血者の体に戻すため、「体の負担が比較的軽い特徴があります」(同事業本部)。

 献血で集められた血液は、各種の安全対策を施して血液製剤化される。血液製剤には、がんの治療や大量出血の際に輸血するために使われる「輸血用血液製剤」と、重い感染症の治療などに使用する「血漿(けっしょう)分画製剤」がある。後者は、血液の血漿部分から特定のタンパク質を抽出・精製した医薬品だ。

 血液は人工的につくれず、長期保存ができない。日本赤十字社の血液事業では全国を7ブロックに分けて在庫調整を行い、医療機関へ必要な輸血用血液製剤を届けている。「最近は血漿分画製剤の需要が高まっています。多くの人の継続的な献血が必要です」

 血液検査目的は避けて

 献血会場は各都道府県にある赤十字血液センターのホームページで検索できる。必要な血液型や量が日によって異なること、会場の混雑を避けることから、予約するのが望ましい。採血時間は全血献血で10~15分程度、採血と赤血球を戻す作業を繰り返す成分献血は、採血量に応じて40~90分程度。

 外傷がある人や服薬中の人などは、献血者と血液製剤を必要とする患者双方の健康と安全を守るため献血できないケースがある。

 希望した献血者には後日、生化学検査や血球計数検査の結果の他、梅毒やB型肝炎ウイルスなどの感染疑いがある場合は通知されるが、感染初期は血中のウイルスが微量で検出できない期間がある。同本部では「血液製剤を必要とする患者の安全を守るため、血液検査を目的とした献血は避け、問診には正しくお答えください」としている。

 献血ウェブ会員サービス「ラブラッド(https://www.jrc.or.jp/donation/club/)」に登録すると、献血の予約、血液検査の結果と献血記録の確認などがウェブやアプリでできる。献血未経験の人もアプリからプレ会員登録が可能だ。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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