黄疸〔おうだん〕

 からだ全体が黄色くなるのが黄疸で、血液中のビリルビンという色素の濃度が高くなることで起こります。眼球の白いところ(結膜)を見ると、軽度の黄疸を診断することができます。舌、手足の裏、爪などの色も参考になります。みかん、かぼちゃなどを食べ過ぎて黄色くなることがありますが、これは柑皮(かんぴ)症といって、黄疸ではありません。柑皮症では、手のひらと足の裏が明るい黄色調であるのに、眼球の白いところの結膜が黄色でないことから、黄疸と区別することができます。また、黄疸のときは尿が茶色になり、程度が重くなると褐色調になります。尿を容器にとって振り動かし、泡をつくってみて、泡まで黄色であれば黄疸です。黄疸が高度になると、皮膚がかゆくなることもあります。
 黄疸にはさまざまな原因があり、肝臓の病気以外でも起こります。まだ十分はたらくことができる古くない赤血球がこわされてしまって、ビリルビンが過剰につくられる溶血性貧血などの血液疾患が、その代表です。しかし、そのほかの黄疸を起こす病気は、肝臓か胆道系のいずれかに異常がある場合です。
 まず、ビリルビンを肝臓の細胞に取り込むことが十分できず、血中のビリルビン濃度が高くなるのが体質性黄疸です。その大部分はジルベール症候群で、日本人に多くみられます。皮膚の色が黄色っぽいことで、美容上の悩みを訴える方もいますが、体調には差しさわりありませんので、病気と見なす必要はありません。病気として重要なのは、肝臓の機能が低下して、ビリルビンの取り込みから胆汁中への排泄まで、すべての過程がそこなわれる場合と、胆管がつまって、胆汁を腸管に排泄できなくなった場合です。肝臓の機能が低下して起こる黄疸は、急性肝炎肝硬変などでみられます。胆管がつまって起こる黄疸には、薬物性肝障害原発性胆汁性胆管炎など肝内の細い胆管に炎症が起こる肝内胆汁うっ滞と、総胆管など太い胆管が結石やがんでつまる閉塞性黄疸があります。
 閉塞性黄疸の場合は、胆汁が腸管に流れないため、便が黄色でなくなり、灰色になる場合があります。また、結石がつまったときには、右上腹部に発作的な強い痛みが起こることがあり、これを疝痛(せんつう)といいます。また、つまって流れがわるくなった胆汁には細菌の感染が起こりやすく、発熱がみられる場合もあります。このため、疝痛、発熱を伴って黄疸が進む場合は、結石による胆管の閉塞が予測されます。いっぽう、黄疸が強くなっても痛みがなく、体力がだんだんおとろえる場合には、がんなどによる閉塞性黄疸が疑われます。

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