腹水、浮腫〔ふくすい、ふしゅ〕 家庭の医学

 肝臓や消化管のまわりの水がたまり、腹部がふくれた状態が腹水です。肝臓病で腹水が出る場合は、多くはひざ下の足がふくらんで、押すとへこみができる浮腫もみられます。浮腫は皮膚の奥の組織に水がたまった状態です。まず、患者さんはベルトや靴のサイズが合わなくなったことに気がつきます。たまった水の量が多くなると、腹部の膨隆や足が太くなったことがあきらかになります。
 腹水や浮腫は、肝臓の機能が低下して、肝臓の細胞がつくっているアルブミンの血中濃度が低下することが原因の一つです。アルブミンは血管の中で、水を内部に留めおくために必要なたんぱくです。このため、その血中濃度が低下すると、水が血管の外に漏れ出てしまいます。また、肝硬変などで肝臓が硬くなると、肝臓に流れ込む血管である門脈の血圧が高くなり(門脈圧亢進)、肝臓や消化管の細い血管から水が漏れやすくなります。これも腹水の原因になります。また、腹水がたまると、血管内の水の量が少なくなり、これがホルモンや自律神経のバランスをくずします。これが腹水の悪化する要因として重要です。
 腹水が出ると、腹水中に細菌の感染が起こったり、腎臓の機能が低下したりすることがあります。塩分制限、高たんぱく食など食事療法と、適切な利尿薬の投与で、その予防と治療をおこなう必要があります(肝硬変の項参照)。