感染症の動向

 再興感染症をWHO(世界保健機関)では「既知の感染症で、すでに公衆衛生上問題とならない程度にまで患者数が減少していた感染症のうち、再び流行しはじめ、患者数が増大したもの」と定義しています。具体的にどんな疾患があるかというと、結核マラリア狂犬病デング熱黄熱ウエストナイル熱エキノコックス症などが該当します。
 また、この要因として熱帯・亜熱帯の開発途上国における、上下水道などの基本的な整備を伴わない急速な都市化・消費文化の進行、衛生環境の劣悪化、開発途上国の開発に伴う森林・山野の急速な農地化、農業形態の変化、自然環境の変化に伴う生物系の変化と人々のアウトドアライフの変化があげられます。
 新興感染症は過去20年間に新しく発見された感染症のことで、レジオネラ肺炎(在郷軍人病)、後天性免疫不全症候群(エイズ、HIV〈Human Immunodeficiency Virus〉感染症)、新型コロナウイルス感染症などをいいます。また薬剤耐性菌感染症のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症薬剤耐性緑膿菌感染症なども含まれます。

(執筆・監修:熊本大学大学院生命科学研究部 客員教授/東京医科大学微生物学分野 兼任教授 岩田 敏)
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