敗血症〔はいけつしょう〕

 原因菌にはさまざまなものがあり、多いのはレンサ球菌、大腸菌、ブドウ球菌、肺炎菌などです。健康な人ではこれらの細菌が血液中で増殖することはありませんが、からだの抵抗力がおとろえていると、かかりやすくなります。
 敗血症は原因菌の種類に関係なく、いずれかの感染巣から血流中に菌が入り込み、高熱や頻脈、呼吸数の増加などといった全身的な症状を呈するような状態になったものを指します。近年では、全身的な炎症反応が特徴であることから、「全身性炎症反応症候群」とも呼ばれています。
 このような状態におちいると生命の危険が増すため、緊急な治療を必要とします。
 成人では感染症症状が存在し、体温が38℃以上(または36℃以下)、脈拍90/分以上、呼吸数20/分以上、白血球数1万2000/μL以上(または4000/μL以下)の条件に合うと敗血症と考えられます。これに血圧低下あるいは循環不全が加わると、さらに重症とされます。
 血液培養によって原因菌を調べるとともに、ただちに抗菌薬による治療を開始する必要があります。
 敗血症は人から人へと感染することはありません。
 血流中に菌が入り込んでも頻脈や呼吸数の増加を伴わない状態のときは、病状が敗血症より軽く「菌血症」と呼ばれています。

(執筆・監修:熊本大学大学院生命科学研究部 客員教授/東京医科大学微生物学分野 兼任教授 岩田 敏)
医師を探す

関連トピックス

関連ニュース