発熱のとき 家庭の医学

解説
 発熱は、38℃未満の微熱と、38℃を超える高熱に区別されます。微熱だからといって安心はできません。
 発熱の原因の多くは感染症(細菌やウイルスなどの微生物による病気)ですが、膠原(こうげん)病、悪性腫瘍、熱中症、薬の副作用、脳出血などでも高熱がみられるときがあります。

■子どもの発熱
 子どもの発熱の多くは感染症で、しかもかぜ症候群(急性上気道炎、感冒〈かんぼう〉)、咽頭(いんとう)炎、気管支炎、肺炎などの呼吸器感染症が大多数です。しかし、虫垂炎(俗にいう盲腸炎)、中耳炎、白血病による発熱もあります。
 また、発熱が5日以上続き、両方の眼球結膜充血があり、口唇(こうしん)や舌の発赤・腫脹(苺舌〈いちごした〉)をみとめ、体に不定形の発疹(ほっしん)があり、手足の浮腫をみとめる場合は川崎病の可能性があります。ただちに小児科専門医を受診してください。

■大人の発熱
 大人も子どもと同様に呼吸器感染症が多く、そのほかに腎盂(じんう)腎炎や胆嚢(たんのう)炎・胆管炎、虫垂炎、大腸憩室(けいしつ)症、膠原病、悪性腫瘍、薬剤の副作用による発熱もみられます。

■海外からの帰国者が発熱したとき
 海外、特に東南アジアやアフリカから帰国して発熱した場合は、マラリア、チフス、デング熱急性A型肝炎、その他の新興感染症のこともあります。数年前には、デング熱の国内発生例も報告されていますし、地球温暖化は日本におけるマラリア感染症流行の危険性を増しているといわれています。
 最近では、ヤブカ属のカによって媒介されるジカウイルスによる感染症(ジカ熱)が話題になりました。
 海外旅行から帰国して発熱をきたした場合は、感染症の専門家がいる病院を受診するようにしてください。

(執筆・監修:社会医療法人恵生会 黒須病院 内科 河野 正樹)