急性咽頭炎、急性喉頭炎〔きゅうせいいんとうえん、きゅうせいこうとうえん〕 家庭の医学

 かぜで、のどが痛いときのいちばん多い疾患です。口の中の、口蓋垂(こうがいすい)と扁桃(へんとう)やその周辺と口の突きあたり(咽頭後壁)が赤くなります。37~38℃の熱が出ます。炎症が喉頭(こうとう)にひろがると、声がれや、嚥下(えんげ)障害や嚥下痛を伴います。一般に、ウイルス感染と同時に細菌による混合感染が原因で起こることが多いです。

[治療]
 安静、水分補給、栄養補給が大切です。混合感染に対する適切な抗菌薬とかぜ薬の服用、うがいが有効です。耳鼻咽喉科でのどに薬を塗ってもらい、鼻の処置やネブライザーをおこなうとさらに有効です。
 インフルエンザは、特効薬の抗ウイルス薬が出ており医師の処方で内服や吸入が可能です。また、インフルエンザに対しては毎年11月ごろから希望者に予防注射がおこなわれています。100%確実ではなく自費診療になりますが、自治体等からの補助が得られる場合もあります。受験生の場合や毎年冬にかかりやすい人、高齢者は、医師と相談して事前に受けることをおすすめします。なお、効果があらわれるのは注射をして約2週間後からです。できれば流行する前に接種されることをおすすめします。
 季節に限らず、ふだんから手洗いやうがいをする習慣をつけることと、疲れているときや睡眠不足のときは無理をしないことがいちばんの予防です。
 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の場合は、激しい痛みをきたします。
 いずれにしてもマスク、手洗い、うがいや換気、「密閉、密集、密接」のいわゆる3密を避けるなど、新型コロナウイルス感染症に対する予防が咽頭炎や喉頭炎の予防になります。

(執筆・監修:独立行政法人 国立病院機構東京医療センター 臨床研究センター 人工臓器・機器開発研究部長 角田 晃一
医師を探す