医学部・学会情報

腎臓病の啓発活動に関する連携協定を締結
日本腎臓病協会と協和発酵キリン

 NPO 法人 日本腎臓病協会(東京都文京区、理事長:柏原 直樹、以下「日本腎臓病協会」)と協和発酵キリン株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:宮本 昌志、以下「協和発酵キリン」)は、日本腎臓病協会が掲げている事業の一つである「腎臓病対策の普及啓発・診療体制の整備」に基づき、腎臓病の疾患啓発活動に関する連携協定を5 月16 日に締結しましたのでお知らせします。

柏原直樹日本腎臓病協会理事長(右)と 宮本昌志協和発酵キリン代表取締役社長

柏原直樹日本腎臓病協会理事長(右)と 宮本昌志協和発酵キリン代表取締役社長


 生活習慣の変化、高齢化を背景に腎臓病が増加しています。腎臓病は脳卒中、心臓病、認知機能障害とも関係しており、国民の健康寿命を損なう要因となっています。その克服には、医療者、行政、関連企業、市民が連携して、総力を挙げて取り組む必要があります。

 今回締結した協定に基づき、日本腎臓病協会と協和発酵キリンは腎臓病の疾患啓発と対策活動に協力して取り組んでいく予定です。

【日本腎臓病協会について】日本腎臓病協会は、医療者、市民、関連企業、行政等が連携し腎臓病を克服するために、立ち上げた組
織です。腎臓病の普及啓発、診療連携体制の構築、腎臓病療養士制度の運営、患者会との連携、アカデミアと関連企業、行政等が連携するプラットフォームである「Kidney Research Initiative-Japan(KRI-J)」を運営します。日本全国どこにいても、良質な医療の恩恵を享受できる環境の実現に尽力します。「腎臓病の克服」が私共の願いです。詳細はhttps://j-ka.or.jp/をご覧ください。

【協和発酵キリンについて】協和発酵キリンは、がん、腎、免疫疾患を中心とした領域で、抗体技術を核にした最先端のバイオテク
ノロジーを駆使して、画期的な新薬を継続的に創出し、開発・販売をグローバルに展開することによ
り、世界の人々の健康と豊かさに貢献する、日本発のグローバル・スペシャリティファーマとなること
を事業ビジョンとしています。詳細はhttps://www.kyowa-kirin.co.jp をご覧ください。

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 腎臓病に対する長期的な包括的腎臓病対策に取り組む日本腎臓病協会が掲げている事業の一つである「腎臓病対策の普及啓発・診療体制の整備」に基づき、腎臓病の疾患啓発活動に関する連携協定を協和発酵キリン株式会社と2019年5月16日に締結しました


 『腎臓病の”静かな”「世界的流行」に警鐘』というアラートが、国際腎臓学会 (ISN)、米国腎臓学会(ASN)、欧州腎臓・透析移植学会(ERA-EDTA)から連名にて発表されるなど(The hidden epidemic: Worldwide, over 850 million people suffer from kidney diseases from press release published by ASN, ERA-EDTA and ISN on June 27, 2018; https://www.theisn.org/news/item/3317-the-hidden-epidemic-worldwide-over-850-million-people-suffer-from-kidney-diseases)、あらためて腎臓病対策の重要性が国際的にも注目されています。腎臓病の患者数は世界で8億5000万人に達すると推計され、腎臓病はいまや世界的に流行していると警鐘が鳴らされています。腎臓病の有病者数を比較すると、糖尿病(4億2,200万人)の2倍で、がん(4,200万人)やHIV/AIDS(3,670万人)の20倍以上に相当し、慢性腎臓病の世界の成人の有病率は、男性で10.4%、女性で11.8%にのぼります。また、国内の慢性腎臓病(CKD)患者数も約1,330万人と推計され、成人約8人に1人はCKDです(日本腎臓学会編集 エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018)。そして、国内でも慢性透析患者数は2016年末で約33万人と増加し続けており、医療経済的に大きな問題となっています。さらに腎臓病は心筋梗塞や脳卒中心不全などの脳心血管疾患や,死亡のリスクを上昇させることが国内外の多くの臨床研究より示されています。このように、透析や腎移植が必要な末期腎不全だけでなく、寝たきりの原因ともなる脳心血管疾患を克服し、高齢化時代の健康長寿のさらなる向上を図るためにも、源流に対する効率的な対応として包括的な腎臓病対策が今まさに求められています。

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